【野鳥Q&A - 野鳥は飼ってもいいの?】
Q:子供の頃、父が家でメジロやウグイスを飼っていました。定年退職で時間が出来たので、父がしていたようにメジロなどを飼いたいのですが、現在では、このような野鳥を飼うのに何か手続きが必要でしょうか?

A:現在、日本の野鳥は一切飼うことができません。
 定年退職の方が子どもの頃、というと、今から50年以上前のことでしょう。その頃はまだメジロ、ウグイス、ホオジロなど一部の野鳥は飼うことを許されていました。

 しかし「野の鳥は野へ」のスローガンを掲げて日本野鳥の会を設立した中西悟堂氏を始め、あるがままの自然を大切に思う人々の活動が実り、飼ってよい野鳥の種類は徐々に減ってゆき、1999年にはメジロとホオジロの2種(1世帯に1羽)、2007年にはメジロのみ(1世帯に1羽)になりました。

 ところで野鳥の愛玩飼養やそのための捕獲には都道府県知事の許可が必要でしたが(鳥獣保護法第9条1項、鳥獣保護法施行規則第5条)、各都道府県による対応の差が大きく、一切許可しないところもあれば、ゆるいところもあり、まちまち、という状態が続いていました。

 この状態に終止符がうたれたのが2012年4月1日。第11次鳥獣保護事業計画により、愛玩飼養目的のための新たな捕獲がすべての都道府県で禁止されました。飼いたいので捕獲を許可してほしいと申請しても、OKを出す自治体は日本国内にはない、ということです。

 インターネットの質問サイトでは「メジロを飼いたいが、どうしたら良い?」という問いに対して「1世帯に1羽なら申請すればOK」「都道府県によって違う」などといった回答が見られることがありますが、これらは2012年4月以前の古い情報です。今となっては誤った知識がいつまでも更新されないまま、というのは困ったことです。

 それよりも、定年退職で時間が出来たのなら、私たちと一緒に、自然を自由に飛びまわる鳥の姿を楽しみませんか?

Q:近所にメジロやオオルリを飼っている家があるのですが、違法ですよね? 放っておいてよいでしょうか?

A:とりあえず県の環境管理事務所へご相談ください。近所づきあいなどを考えて、相談したり連絡したりするのを嫌がる方もいらっしゃいますが、情報提供者の個人情報は明らかにされません。

 環境管理事務所に相談すれば、その後は警察、バンダー(標識調査資格所有者)、鳥獣保護員、獣医などそれぞれの分野の専門知識を持った人たちが、しかるべき場面で対応してくれます。 お任せするのが一番です。

 専門家にお任せするのが一番、という例をご紹介しましょう。野鳥の会のある会員が、メジロの入った籠を軒先に吊るしている家を見かけたので、まったく面識のない家だったが住所を調べて手紙を出し、鳥を放すようにお願いしたそうです。数日後、そのお宅の軒先から籠が消えていました。お願いを聞き入れて鳥を放したのかもしれませんが、単に鳥籠を外に出すのを止めてしまっただけかもしれません。いずれにしても問題があります。

 鳥を放す際にも色々問題があり、素人判断でやたらに放鳥するのは、鳥のためにも生態系のためにも良くない場合が多々あります。また警戒されて鳥籠を外に出さなくなってしまったら証拠隠滅。環境管理事務所や警察の対応がやりにくくなります。