*** 野鳥観察の部屋 ***

 ヒドリガモのオスの成鳥と幼鳥を数えてみた
2019-03-30
さいたま市 大井智弘

1 見沼自然公園のカモ類
 見沼自然公園(さいたま市緑区)の池では毎冬たくさんのカモ類が越冬する。ここ2年は1羽のトモエガモのオスが越冬し一躍話題になった。秋口には留鳥のカルガモはもちろん、比較的早い時期にコガモ、ヒドリガモ、オナガガモなどが渡来する。やや遅れてオカヨシガモが入り越冬する。マガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、ヨシガモ、オシドリ等は入っても数日で抜けてしまう。
 越冬数はヒドリガモとオナガガモが圧倒的で、時には集団で陸に上がり草の若葉や芽などを食べる姿が見られ、私達の足もとまで来てくれるので楽しくてたまらない探鳥地である。
2 ヒドリガモのオスの成鳥と幼鳥の識別
 私がヒドリガモの幼鳥率調査に興味を持ったきっかけは「特定非営利活動法人 バードリサーチ」のヒドリガモの幼鳥率に関する結果報告(2017年1月~3月調査)を目にしたことであった。 私にとって野鳥の成鳥と幼鳥を区別することは、ゴイサギように大きな違いが見られる種ならわかるとしても、ひと目で識別することはたいへん難しい。 ところが、ヒドリガモのオスの場合は羽色で成鳥と幼鳥を区別することができると知り、見沼自然公園で幼鳥率を調べてみることにした。
 識別ポイントは、体の側面に白いラインがあるかどうかで区別ができる、ポイントは下の写真のように、成鳥オスは雨覆が白いのに対して、幼鳥オスの第一回生殖羽は雨覆の羽が白い縁取りのある灰褐色をしていることで区別ができる。
 
3 幼鳥率の調査
 ヒドリガモの日本での越冬個体数は、2015年1月のガンカモ類生息調査では164,494羽でマガモ、コガモ、カルガモに次いで4番目に多い(バードリサーチニュース 生態図鑑 ヒドリガモより引用)。また、国内越冬分布の特徴は西日本を中心に越冬し東北地方での越冬個体数は少ない傾向にある(雑誌「BIRDER」2011年11月号掲載・2011年1月「第42回ガンカモ類生態調査」より引用)。
3月に入り暖かい日が増えてくると、見沼自然公園でもオナガガモの姿がいち早く見られなくなるが、ヒドリガモの渡去期は遅く、2019年3月23日でも33羽(♂16羽、♀17羽)を観察でき、幼鳥をさがしてみると成鳥オス16羽中幼鳥はたったの1羽であった。3月29日の調査でも34羽(♂17羽、♀17羽)の中で、雄の幼鳥は1羽であった。
昨年は1月~3月で4回の調査を行い結果は以下のとおりである。

 1月06日  オス成鳥 22羽  幼鳥3羽
 1月21日  オス成鳥 21羽  幼鳥4羽
 2月12日  オス成鳥 20羽  幼鳥4羽
 3月14日  オス成鳥 23羽  幼鳥7羽
4 識別調査の課題と展望
  バードリサーチによる2017年の調査結果を簡単にまとめると、1月~3月では、全国的に3月に幼鳥率が高いとのことで、地域差よりも時間差の傾向が見られたとのことであった。 また、1月でも換羽途中の幼鳥がいたとのことでメスとの区別が難しかったことで誤認もあったかもしれないとのことであった。 詳しくは「バードリサーチ水鳥通信2017年7月号」をご覧ください(ネットでも見られます)。
 
 私の調査では昨年と比べると、2019年の3月は幼鳥率が極端に低いものとなった。越冬地での気温や環境の変化も要因の一つであるとしても幼鳥が少ない原因ははっきりしない。誤認があったということが報告に書かれていたが、私も昨年微妙な識別の間違いをしていた。それは上の左の写真で前の個体はヒドリガモのメス、奥の個体はオスの幼鳥、もしオスの幼鳥が池で寝ていて首を隠した状態で額のクリーム色が確認できなかったとしたらメスとカウントしていた。また、上の右の写真のかすかな白いラインを幼鳥とカウントしていた。簡単だと思って行ったヒドリガモのオスの成鳥と幼鳥調査の難しさを痛感し、さらに野鳥識別の奥深さを実感した。
 最後に、日本野鳥の会埼玉が毎年1月に行なっている県内カモ類カウント調査の中で、ヒドリガモのオスの幼鳥調査を県内数カ所で実施して、3月まで継続的に調査すれば埼玉県内での幼鳥率の傾向が見えてくるのではないかと考えている。

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