** 野鳥の鳴き声を楽しもう No52 【繁殖期に入る鳥たちの声】 **
報告: 大井 智弘

 はじめに
  3月初旬、繁殖期を迎えた鳥たちが面白い声を出し始めた。モズはもの真似を入れた「ぐぜり鳴き」、ウグイスは街中の公園で小声での囀りを披露しだした。ケリは農耕地で威嚇のような声を出していた。
 春です、花見もかねて夏鳥がやってくる前に留鳥たちの春の鳴き声を聞きにフィールドに出掛けましょう。
 1 モズ(百舌) スズメ目モズ科モズ属 全長:20cm
 モズは秋の高鳴きで知られているが、春はもの真似をいれてぐぜる。ヒバリの声かと思って振り向くとモズがいたといった経験をした方も多いはずだ。
 今回の録音は3月初旬に見沼田んぼを歩いているとメスの所へオスがやってきて求愛給餌(写真)をしたそのオスの声である。
 鳴き声を聞いてモズが真似している鳥は何かを想像してみるのも楽しい。
  【録音①】2023年3月 さいたま市 ぐぜり 20秒
2 ウグイス(鶯) スズメ目ウグイス科ウグイス属 全長:オス 16cm メス 14cm
 誰もが知る春告げ鳥のウグイス、市街地でシーズン最初に鳴き声を聞けるのは梅の咲く頃の2月、遅くとも3月上旬には囀りが聞ける。
 今回の録音は、3月中旬、さいたま市内の小さな公園でのものである。
 ウグイスは藪の中にいて姿をあまり見せてくれないが、この日は写真のように姿を見せて鳴いてくれた。もうしばらくすると美声を聞かせてくるはずだ。
  【録音②】2023年3月 さいたま市 さえずり 13秒
3 ケリ(鳧) チドリ目タゲリ科タゲリ属 全長:36cm
 ケリは大型のチドリで、繁殖期には巣に近づく人間や動物に「ケリ、ケリリ」と鋭く大きな声で威嚇する。天敵の猛禽類にも立ち向かう。もちろん名前の由来はこの鳴き声だ。
 今回の鳴き声は、レンゲが咲き出した3月の農耕地で録音したものである。まだ営巣はしていなかったようだがしきりに大きな声を出していた。近くには鉄工所があり、幹線道路には車が行き交う環境であったのでノイズがひどいがやっと録音ができたので聞いてもらいたい。
  【録音③】2023年3月 静岡県富士市 地鳴き(威嚇か?) 15秒

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