* * 野鳥の鳴き声を楽しもう No50 【鳴き声で探す秋の鳥】 **
報告: 大井 智弘

 はじめに
 10月下旬から11月になると鳥たちの鳴き声が聞こえてきて楽しい。モズの高鳴きは一時の勢いがなくなったがまだまだいける。瓦屋根やアンテナではジョウビタキの地鳴き、カワラヒワは電線に並んでおしゃべり、秋なのにさえずるホオジロの声、なんと渡良瀬遊水地ではウグイスもさえずっていた。
 今回は秋らしい地鳴きとちょっと珍しいさえずりを紹介したい。
 1 ジョウビタキ 【尉鶲・常鶲】 スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属 全長:14cm
 この時期、朝、近所の農家の屋根で鳴くジョウビタキの地鳴きが聞こえてくるのが定番だ。公園や農耕地、河川敷など明るく開けたところを好むので観察しやすい鳥だ。
 渡来してきたばかりの頃は「ヒッヒッヒッ カタカタ」とよく鳴く。10月29日の渡良瀬遊水地探鳥会でも至る所で地鳴きが聞こえた。

 【録音①】2022/10/29 渡良瀬遊水地  12秒
2 モズ 【百舌】 スズメ目モズ科モズ属 全長:20cm
 10月の勢いはなくなったがまだまだ高鳴きが聞こえてくる。樹木の天辺や電線、電柱など目立ったところで鳴くので見つけやすい。
 大きな声なので録音しやすそうだが、不意を突かれることが多く、気づいた時には鳴き止んでしまう。メスも強気な表情で鳴くので鳴き声を頼りに見つけてもらいたい。

【録音②】2022/10/29 渡良瀬遊水地  13秒
3 クイナ 【水鶏】 ツル目クイナ科クイナ属 全長:29cm
  関東以南では冬鳥のクイナは、警戒心が強く姿を確認できてもさっと草むらに逃げ込んでしまう。秋口から冬には地鳴きをよく耳にすする。小声で「キュッ、キュッ、キュッ」、大声で「キュイー、キュイー、キュイー」と鳴くのでぜひ鳴き声を頼りに見つけてもらいたい。

【録音③】2021/11/03 北本市  8秒
【録音④】2021/12/10 北本市  23秒
4 ホオジロ 【頬白】 スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 全長:17cm
 ホオジロは、10月~11月にさえずることはよく知られている小鳥である。
 小春日和で浮かれて鳴くのかと思われていたが、翌春のなわばりとつがい相手を確保するために大切な行動であるらしい。
(参考文献『鳥のおもしろ私生活』ピッキオ編著 主婦の友社)

【録音⑤】2021/11/06 さいたま市  23秒
5 カワラヒワ 【河原鶸】 スズメ目アトリ科カワラヒワ属 全長:15cm
 秋風が吹きだすと電線に並んで何かおしゃべりをしているような声が聞こえてくる。飛びながらもよく鳴いてくれるので見つけやすい鳥だ。11月、朝の散歩には手袋が欲しくなる頃にカワラヒワの 「ビーン、ビーン」というさえずりが聞こえてきた。秋のうちに集団お見合いでもしているのか?

【録音⑥】2022/11/07 さいたま市  12秒
6 ウグイス 【鶯】 スズメ目ウグイス科ウグイス属 全長:オス16cm メス14cm
 ウグイスは、繁殖期を過ぎると地鳴きの「チャッ、チャッ」という声だけと思っていたが、渡良瀬遊水地で10月29日の日の出後(6時半ごろ)にウグイスのさえずりが聞こえてきた。
 最初はモズの物まねかと思ったが違う、近くにウグイス狙いの野鳥撮影愛好者が誘き出し音を出している気配もない。さえずりは単発ではなく、しばらくの間聞こえていた。10月に珍しいさえすりを聞くことができてビックリ。

【録音⑦】 2022/10/29 渡良瀬遊水地  34秒

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