* * 野鳥の鳴き声を楽しもう No49 【ヒヨドリ】 **
報告: 大井 智弘

 はじめに
 9月下旬、今年も秋の訪れとともにヒヨドリが群れで渡ってくる姿を確認した。10月の中旬にはあの「ピィーヨ、ピィーヨ」という騒がしい声がどこでも聞こえてくる。
 「ヒヨドリなら夏でもいるよ」という声が聞こえてきそうだが、『野鳥を友に』高野伸二(著)朝日文庫によると(以下引用)、「10月の初めに姿を現し、4月末から5月初めに姿を消す、つまり非繁殖期だけに東京にいる鳥だったヒヨドリが、東京都下の何カ所かに夏も残っているという報告があったのは昭和43年です。その後夏も残るヒヨドリが多くなって今では東京のどこに行ってもヒヨドリの姿を見るようになりました。」とある。
 今回は身近な鳥の代表格であるヒヨドリの生態と鳴き声を紹介したい。
 1 ヒヨドリ 英名:Brown-eared Bulbul 全長:28cm
 ヒヨドリは全身が灰色で英名にもあるように目の後ろに赤茶色の斑が目立つ。ボサボサの頭の羽毛も特徴の一つだ。腹には白斑がみられ、尾羽は長い。
 特徴的な波形を描いて飛ぶ姿を覚えてしまえば遠くからでも見つけやすい。おまけに飛びながら大きな声で「ピィーヨ、ピィーヨ」と鳴いてくれる。
 冬場のエサ台などに集まってくると他の小鳥たちを追い払ってしまうが甘いものが大好きで憎めないところもある。
 『日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし』東邦出版によると、平安時代、ヒヨドリは、貴族たちの間で飼い主をちゃんと見分けるのでよく飼われていたそうだ。
2 ヒヨドリはもしかしたら3種いる?
 今や留鳥として市街地から山間部でも見られるヒヨドリだが、繁殖地は日本と朝鮮半島、サハリンに限られているのでグローバルな視点から見ると貴重な鳥の一種である。
 『トリノトリビア』川上和人(著)正東社によると、北海道にいるヒヨドリの羽色は明るい灰色で南に行くほど赤茶色になり、地域による色彩や形態の違いから日本のヒヨドリは8亜種に分けられているそうだ。最近のDNA分析の結果、別種と言っていいほど異なった集団が2つ見つかっているようで、将来、日本のヒヨドリは3種に分けられるかもしれないとのことだ。
 「なんだヒヨドリかぁ」の一言で見過ごしてしまってはいけない鳥であることを肝に銘じておきたい。
3 ヒヨドリの鳴き声
 次の3つの録音は、どなたにも聞き覚えのある鳴き声だろうが、違いをチェックしてもらいたい。
【録音①】2021年9月 さいたま市  19秒
 自宅近くの電線で「キュウーイ、キューイ」と連呼

【録音②】2022年4月 さいたま市  5秒
 「ピイッ、ピイッ、ピイッ」と繰り返す、縄張り宣言か?

【録音③】2021年3月 東京都高尾山  10秒
  アリスイかと思ったのは私だけか(笑)

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