* * 野鳥の鳴き声を楽しもう No48 【カッコウ科の仲間】 **
報告: 大井 智弘

 はじめに
 カッコウ科の仲間は姿が似ていて識別が難しいが、鳴き声はそれぞれに特徴があって一声聞けば存在を知り識別もしやすい。しかし、秋の渡りの時期、カッコウ科の鳥たちは黙ったままで私などはもうお手上げ状態。川柳「鳴かぬなら~~~ホトトギス」はきっと秋に書かれたのではないかと勝手に想像してしまう。今回は、目視だけでは識別困難なカッコウ科の仲間、カッコウ、ホトトギス、ツツドリの鳴き声を紹介したい。なお、写真はすべて鳥仲間の冨田さんから提供していただきました、心より感謝!
 1 カッコウ(郭公) 夏鳥として九州以北に渡来
  カッコウは、ご存じのとおり「カッコウ、カッコウ」という鳴き声が特徴の鳥で、名前はこの鳴き声が由来である。英名でも「Common Cuckoo」である。今回取り上げるカッコウ類3種類の中では一番体が大きい。
 識別ポイントは、黄色のアイリングと虹彩、胸から下面の横斑は細くて間隔が狭いと図鑑等にはあるが、鳴かないと識別は困難。秋の渡りではあまり目にしない気がする。
 【録音①】2021年5月 渡良瀬遊水地  12秒
  誰もが知る「カッコウ、カッコウ」

カッコウ
 2 ホトトギス(杜鵑・時鳥・不如帰) 夏鳥として北海道南部以南に渡来
 今でもたまに聞く「トケン類」という言葉を調べると、ホトトギスは漢字では「杜鵑」、音読みすると「とけん」とある。しかし、2000年発行の日本鳥類目録(第6版)で「ホトトギス目ホトトギス科」は分類上の見直しで「カッコウ目カッコウ科」となった。「トケン類」とは、現在のカッコウ科の古い呼び方である。
 聞きなしの「特許許可局」も「トケン類」と同様に昭和時代の名残の感じでちょっと無理がある気がする。
 【録音②】2022年6月 高尾山  10秒
  「キョ、キョ、キョキョキョ」という5音で鳴き
  だんだんとトーンが下がっていく

ホトトギス
3 ツツドリ(筒鳥) 夏鳥として九州以北の山地の森林に渡来
 竹筒を叩くような「ポポ、ポポ」という声で鳴くことが和名の由来である。どこかのんびりとした暖かみのある声を山歩きの途中に聞くとホッとするが、山中ではなかなか姿は見られない。ツツドリを観察するならば、秋の渡りで市街地の公園や街路樹で毛虫大好きのツツドリに会えるチャンスがある。しかし、昨今、街中の毛虫を根こそぎ駆除してしまうのでツツドリに出会う機会が少なくなっている気がする。

ツツドリ
      
赤色型のメス
 【録音③】2022年6月 高尾山  11秒
  「ポポ、ポポ、ポポ」と2音ずつ区切って鳴く
 4 托卵について
 日本で夏鳥として渡来し繁殖するカッコウ科の鳥は、上記の3種類とジュウイチの4種類で、いずれも「托卵鳥」である。彼(彼女)らは自分では巣を作らずに他の小鳥たちに子育てを任せてしまう「托卵」という習性で種の保存を成し遂げてきた(カッコウ科のすべての鳥が托卵をする訳ではないらしい)。
 カッコウ科の鳥たちをじっくり観察したこともない私がここで托卵について語ることは、あまりにも勉強不足で書けない。

参考文献
 『鳥ってすごい!』 樋口 広芳(著)ヤマケイ新書 「第8章 ずるがしこさの極み 托卵」
 『見る 聞く わかる 野鳥界(生態編)』 石塚 徹(著)信濃毎日新聞社 「カッコウの仲間」
 『小学館の図鑑 NEO POCKET 鳥』 上田恵介(監修)小学館 「カッコウの仲間」
 『BIRDER』2015年6月号 文一総合出版 (特集)カッコウ類観察ガイド

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