* * 野鳥の鳴き声を楽しもう No47 【日本三鳴鳥】 **
|
報告: 大井 智弘
|
はじめに
「日本三鳴鳥」とは?と思い雑誌『BIRDER』(特集)日本三鳴鳥2020年5月号を参照してみると、「(日本に生息する)鳴禽の中でもとりわけさえずりの美しいとされるウグイス、コマドリ、オオルリを日本三鳴鳥と呼ぶ」とあった。しかし、この3種がなぜ日本三鳴鳥となったのかは謎だらけのようだ。
今回は、異論をお持ちの方もいらっしゃることを十分承知の上でウグイス、コマドリ、オオルリのさえずりを紹介したい。 |
1 ウグイス(鶯、報春鳥)
ウグイスは、野鳥観察に興味が無い人でも知っているさえずり「ホーホケキョ」で有名である。ちょっと鳥に興味がある方ならさえずりの合間に入る「ケキョ、ケキョ、ケキョ・・・」と繰り返す「谷渡り」、冬場によく聞こえてくる「チャッ、チャッ」「ジャッ、ジャッ」と聞こえる「笹鳴き」と呼ばれる地鳴きもご存じだろう。
これだけ多くの人に知られていて、美しいさえずりを聞かせてくれるウグイスが日本三鳴鳥に入ることを否定する理由は見つからない気がする。 |
2017年6月 群馬県赤城山にて |
【録音①】2019年6月 北本市 さえずり 14秒
【録音②】2022年8月 日光市 谷渡り 16秒
【録音③】2019年8月 尾瀬沼 地鳴き 26秒
※途中にメボソムシクイのさえずりあり |
|
2 コマドリ(駒鳥) コマドリという名前は、馬のいななきのように聞こえる「ヒンカラカラカラ」というさえずりが由来で、漢字で表記すると「駒鳥」と書く。
コマドリは、夏鳥として渡来し、主に亜高山帯の針葉樹林で繁殖するため観察するには標高の高い場所まで出向く必要がある。鳴き声は聞こえるがなかなか姿が見つけられない鳥だが、鳴き声は声量もあり特殊なので声を覚えておけば存在を知ることは可能である。
コルリが似たさえずりをするので要注意。 |
2016年5月 栃木県日光にて |
【録音④】2022年8月 日光市 さえずり 53秒
【録音⑤】2022年5月 矢板市 コルリのさえずり 24秒
※最初と中頃、そしてラストにさえずりあり
|
|
3 オオルリ(大瑠璃)
オオルリのオスの美しい瑠璃色は野鳥ファンをとりこにするいわゆる幸せの青い鳥である。しかも初夏、渓谷の枯れ木のてっぺんなどで美しい歌声を響かせる。そのさえずりを説明しようとしても難しいのだが、雑誌『BIRDER』(特集)日本三鳴鳥2020年5月号では「ヒィーチューピィージィジィ」と紹介されている。夏鳥として渡来し、渡りの時期にはキビタキと同様に市街地の樹木の多い公園でも観察できる。
キビタキの鳴き声と似ているが、オオルリは「ジジィ」という濁った声で締めることが多いのでじっくり聞けばわかる。 |
21年5月 さいたま市にて |
【録音⑥】2022年6月 平標山(新潟県) さえずり 32秒
【録音⑦】2022年6月 さいたま市 キビタキのさえずり 34秒
|
最後に
「日本三鳴鳥」以外にもうつくしいさえずりを聞かせてくれる鳥は数多くいる。山間部に行けばキビタキ、ミソサザイ、クロツグミ、近場でも聞くことができるホオジロ、メジロなどなど。結局は野鳥観察の一環として個々人で「私流鳴鳥」を楽しむのが一番だと思うのだがいかがでしょう。
|
|