*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No43 【カワラヒワ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 気持ちのいい5月、この時期は渡りの途中で華やかなキビタキ、オオルリといった夏鳥たちが話題になるが、市街地の樹木のてっぺんや電線で見られるカワラヒワの「キリキリビーン」という鳴き声も捨てがたい。今回は身近な鳥の代表格カワラヒワの生態とさえずり、地鳴きを紹介したい。
 1 カワラヒワ【河原鶸】スズメ目アトリ科カワラヒワ属 体長:15cm 留鳥または漂鳥
 鳥見を始めた頃、まず覚えたのがカワラヒワの「M字型の凹尾」、そして下尾筒と風切りの基部の鮮やかな黄色、飛翔時によく目立つ翼の黄色であった。「キリリコロコロ」と飛びながら鳴いてくれるので識別もしやすい鳥である。
 秋冬には群れで地上に落ちた種子を食べる姿がよく見られる。カワラヒワは植物の種子や果実を採食し、ヒナにも植物質の食べ物を与える完璧なベジタリアンのようだ。
 外見は、写真(オスかな)のように嘴は淡いピンク色、頭部から喉にかけてはオリーブ色の褐色、背から胸は茶色である。 

【写真①】2019年4月 さいたま市
2 集団お見合いでカップルを形成
 カワラヒワは、秋~冬には群れを形成している姿がよく見られる。60~70羽が一斉に公園などの地面から飛び立つと、こちらが驚いてしまうほどである。
 こうした習性もあってなのだろうか、カワラヒワのつがい形成は個別に求愛するのではなくて、特定の木に集団で集まって、いっせいに求愛ディスプレイをして相手を見つけるとのことだ。それも春先ではなくて秋に早々とカップルができあがるらしい。ヒナを連れている姿を見るのも他の鳥よりも早い時期の4月終わりから5月初旬に確認できる。 

【写真②】2019年4月 さいたま市
 参考文献:『身近な鳥のふしぎ』 細川博昭 著 ソフトバンク クリエイティブ(株) 2010年発行 
 3 カワラヒワの鳴き声
独特な「ビーン」というさえずりは一度聞いたら忘れられない。
飛びながらも鳴いてくれる「キリリコロコロ」は鈴の音のようで癒やされる。
【録音①】2021年4月 さいたま市 さえずり  15秒
 「ビーン ビーン」と繰り返す

【録音②】2022年4月 さいたま市 さえずり  19秒
 「キリキリビーン コロコロビーン」

【録音③】2021年6月 さいたま市 さえずり  21秒
 「チヨチヨビーン」と聞こえてセンダイムシクイと間違えた(笑)

【録音④】2022年4月 さいたま市 地鳴き  19秒
 「キリリ、キリリ」電線で鳴いていた

【録音⑤】2021年5月 さいたま市 幼鳥  26秒
 「チンチンチン」と跳ねるようなリズムで鳴く

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