*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No38 【北本自然観察公園】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 新型コロナウィルス感染者数が減ってきたが、まだまだ先行きは不透明。コロナ禍にあって禍転じて一人歩きでのバードウォッチングの楽しさを実感するようになった。今回は秋を感じさせてくれる鳴き声を求めて出掛けた「北本自然観察公園お一人様BW」の報告である。
 1 北本自然観察公園
 北本自然観察公園は、日本野鳥の会埼玉主催の定例探鳥会が開催されている探鳥スポットである。特に冬期には野鳥をすぐ近くで観察できるのでバーダーにとって人気の公園だ。
 北本自然観察公園のホームページ10月26日の公園日記を見ると、ジョウビタキ、カシラダカ、アオジ、シメ、アリスイの声、そしてオシドリのメスも見られたとあった。この情報を知り、心が躍るような気分で駆けつけた。11/3文化の日、目視または鳴き声が聞けた野鳥は以下のとおり25種であった。
マガモ オナガガモ コガモ カイツブリ キジバト アオサギ クイナ トビ カワセミ アリスイ コゲラ モズ カケス ハシブトガラス ヤマガラ シジュウカラ ヒヨドリ ウグイス メジロ ジョウビタキ スズメ カワラヒワ ホオジロ アオジ ガビチョウ
 公園内は紅葉が進んでいる樹木もあるが、まだ葉も落ちていない、背の高いヨシが見通しを遮っている。鳴き声を頼りにしての25種は納得の数字。皆さんも是非遊びに行ってみてください。 
 2 ヒヨドリ
 まず出迎えてくれたのはヒヨドリ。1年中見られる鳥だが、9月下旬~10月初旬続々と群れとなって渡ってきて、あっと言う間にヒヨドリの鳴き声がどこでも聞こえるようになる。
 「なんだ、ヒヨドリかあ~」と思う方が多いかもしれないが、ヒヨドリは日本列島周辺にしかいない鳥で、グローバルな視点では見られる機会が少ない鳥なのだ。また、春と秋の渡りについては不明な点がいまだに多い。
【録音①】 ヒーヨ ヒーヨとにぎやかに鳴く  19秒
 3 ウグイス
 夏の終わりにさえずりが聞かれなくなり姿を見ないと思っていたが、10月の終わりごろから地鳴きが盛んに聞かれるようになってきた。
 今回も藪に隠れていて姿は見られなかったが何度も地鳴きが聞こえてきた。しかし、この日は笹藪でガビチョウが盛んに鳴いていて、ガビチョウの声にかき消されそうでもあった。
 鳴き声:地鳴き「チャッ チャッ チャッ」
【録音②】 ヒヨドリとウグイスの声  13秒
 4 ジョウビタキ
 この時期は何と言ってもジョウビタキ。秋の風物詩とも言えるあの声が聞こえてきた。
 私は10月の終わりに自宅付近でジョウビタキのオスをチラ見していたが、さすが北本自然観察公園、メスが木の枝にとまって短くだが鳴いてくれた。オスは恥ずかしがってすぐに隠れたが、背中の白斑をしっかりと確認できた。
 もう少しすると低い所に降りてきてくれるようになる。楽しみだ。
【録音③】 地鳴き「ヒッ ヒッ ヒッ」  7秒
 5 クイナ
 ヨシ原の中からクイナの甲高い鳴き声が聞こえてきた。クイナは北海道や東北地方では夏鳥として繁殖する。それよりも南では冬鳥とされているが関東地方でも繁殖例があるらしい。
 北本自然観察公園でもヨシ原が刈られる1月以降に観察するチャンスが増える。クイナを見つけるにはこの鳴き声を覚えておくのが一番の近道だ。
【録音④】 鳴き声「クイッ クイッ キュッ キュッ」  9秒
 6 アリスイ
 最後はアリスイ。キツツキの仲間だがキツツキらしくない鳥。この日の北本自然観察公園ではアリスイねらいの大砲レンズ付きカメラは並んでいなかったが、アリスイを撮りたいカメラマンをいつも多数引き連れる人気者だ。
 双眼鏡で鳴き声の方向を探してみたがやはり姿は確認できなかった。しかし、鳴き声はいい感じに録音できた。ラッキーの一言につきる。

【写真】アリスイ(撮影:浅見 徹氏
【録音⑤】鳴き声:猛禽のような「キィーキイキイ・・・」  20秒

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