*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No34 【8月でも元気】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 多くの鳥たちが繁殖を終え、さえずりもほとんど聞かれなくなる真夏の8月、近所で鳥見をしてもさびしい限りでもうツバメの姿も見られなくなった。今回は、鳴き声録音には適さないこの時期でも姿が見られた鳥たちの鳴き声を紹介したい。
 1 キジバト(雉鳩)ハト目ハト科キジバト属 全長:33cm
 8月のお盆の長雨後の週末に鳥見散歩に出ると、キジバトが電線で「デーデーポーポー」と鳴いていた。本種は今では普通に街中で見られるが、本来、キジバトは山の鳥であった。私が子どもの頃は「ヤマバト」と呼んでいたことを覚えている。『身近な鳥の生活図鑑』三上修(著)ちくま新書によると、キジバトが都市で見られるようになったのは昭和30年ごろで、昭和50年代になっても、キジバトが都心で繁殖するとニュースに取り上げられていたとのことである。それが今ではりっぱな都市鳥となっているという訳だ。
 キジバトの特徴は、虹彩が赤く、翼は橙色の羽縁がうろこ状の模様になっていてキジの雌の羽色に似ていることが和名の由来になったようである。また、ドバトのように群れることはなく、単独か、夫婦と思われる2羽で行動していることが多い。
◎鳴き声
【録音①】さいたま市 さえずり  17秒
 「デーデーポーポー」「デデーポッポ」とさえずる
 2 オナガ(尾長)スズメ目カラス科オナガ属 全長:37cm
 キジバトはどこか頼りない感じの鳴き声であったが、オナガは「ギューイ、ギュイギュイ」と叫びながらフル回転であった。近所の公園の木の高いところに営巣しているようで、子育て真っ只中のようだ。巣は葉っぱの中に隠れていて見えないが幼鳥がいるようだ。そこへ親と思われる成鳥が餌を繰り返して運んでいた。しばらく観察していると、何羽ものオナガが巣に餌を運んでいるではないか、どう見ても親鳥以外のオナガも手伝っていた。
 『街・野山・水辺で見かける野鳥図鑑』柴田佳秀(著)日本文芸社によると、オナガには繁殖の時にヘルパーがいてヒナに給餌をしたりするとのことであった。エナガはヘルパーがいて子育てをするとは聞いたことがあったが、オナガのヘルパーは初めて確認できた。
◎鳴き声
【録音②】2021年8月 さいたま市 オナガの鳴き声  25秒
 「ギューイ、ギュイギュイ」「ゲーイ、ゲイゲイ」「キュイ、キュイ」「キュルル」と鳴く
 3 コムクドリ(小椋鳥)スズメ目ムクドリ科コムクドリ属 全長:19cm
  さて最後はコムクドリ。7月下旬、芝川第一調節池ではムクドリの群れの中にコムクドリが混じっている姿が見られ出し、8月下旬まで度々確認できた。多い時は30羽を越えるコムクドリが電線に並んでいた。また、ミズキの実を競うように食べていた。
 最初は7月にもうコムクドリかと思ったが、『見たくなる!日本の野鳥420』永井真人(著)主婦の友社によると、コムクドリの秋の渡りは早く7月中には低地に姿を現すとあった。すでに7月はコムクドリの渡りの時期が始まっていて、ここで体力をつけてこのあと南へ向かうのだろう。

 写真は2枚とも2021年7月に芝川第一調節池で撮影
左がオスで右がメスかな? 色鮮やかな2羽のオス
◎鳴き声
録音は粘ったが、さえずりには程遠く飛び立つ時の合図のような声が録れただけ(笑)。
【録音③】2021年8月 さいたま市 コムクドリの鳴き声  31秒
 飛び立つ時の「キュルキュルキュル・・・・」「ギュル、ギュル」
 下のムクドリの声と比べてもらいたい、コムクドリの声の方が小さく若干甲高い声か?

【録音④】2020年6月 さいたま市 ムクドリの鳴き声  20秒
【動画】2021年7月  電柱に3羽のコムクドリ  30秒

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