*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No32 【夏の山の鳥たち】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 2021年の夏も昨年に続きコロナ禍で「不要不急の外出は控えてください」と言われるが、我々バーダーにとって街の暑さを逃れて高山や草原でのバードウォッチングは捨てがたい。今回は夏の山の鳥たちの声を聞いて少しでも避暑気分を感じていただきたい。
1 ミソサザイ(鷦鷯) スズメ目ミソサザイ科ミソサザイ属 全長:11cm
 山歩きの渓流沿いで会いたい鳥といったら小さな体なのに大きな声でさえずる「ミソサザイ」であろう。チョコレート地の羽に黒い細かい斑点、尾羽をピンと立てて鳴く姿をぜひ見たい。沢沿いで鳴く個体と樹林帯で鳴く個体では、沢沿いの鳴く個体の方が大きい声で鳴くことがわかっている、渓流の音に声を消されないように頑張っているようだ。
 【写真①】2017年4月 飯能市 【写真②】2017年5月 栃木県日光市
◎鳴き声
【録音①】2019年8月 日光白根山  59秒
 「ピィツイッピルルル、ピーチィピルピル」 樹林帯なので少し穏やかな感じ。

【録音②】2021年5月 神奈川県西丹沢  19秒
 「ツチッリリリリリリリリ」と警戒している時の声か? クロツグミの声も聞こえる
2 アカハラ(赤腹)スズメ目ヒタキ科ツグミ属 全長:24cm
 樹林帯をぬけて1000m付近の開けた所まで登っていくと、木の高いところから「アカハラ」のさえずりが聞こえてくる。早春は早朝や夕方にさえずっているが、6月から7月、8月と季節が進むうちに日中でも鳴くようになるようだ。高原で涼しい風にあたりながらどこからともなくアカハラのさえずりが聞こえてくるのは最高のごちそうである。
【写真③】2021年7月 栃木県矢板市 【写真④】2018年2月 さいたま市
【録音③】2021年7月 栃木県矢板市 さえずり  31秒
 「キョロン チリリ」と繰り返して鳴く

【録音④】2021年7月 栃木県矢板市 さえずり  35秒
 「キョロン キョロン チリリ」と鳴く ウグイスとホオジロと鳴き交わしている
3 ルリビタキ(瑠璃鶲) スズメ目ヒタキ科ルリビタキ属 全長:14cm
 標高が高くなるにつれて見られる鳥も代わってくる。亜高山帯の1500~2400m付近の針葉樹林帯ではあの青い鳥「ルリビタキ」に是非とも会いたい。
 2019年8月、日光白根山の中腹でルリビタキが透き通るような声でさかんにさえずっていた。地鳴きまで聞かせてくれて大サービスであった。しかし、姿はチラ見できただけだった。
【写真⑤】2018年2月 さいたま市 【写真⑥】2016年8月 長野県佐久穂町 幼鳥
【録音⑤】2019年8月 日光白根山 さえずり  33秒
 「フュルリ ヒュリヒュリ」 「ヒーピヒョロピヒョロヒョロヒョロリ」など

【録音⑥】2019年8月 日光白根山 地鳴き  17秒
 「ヒッヒッ」という高い声、「グッグッ」「ガッガッ」という低い声

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