*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No23 【早春の鳥たち】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 3月に入ると太陽の光の暖かさと共に春の兆しが感じられるようになるが、北へ向かう鳥たちを見送ると少し寂しい気持ちにもなる。今回は、早春の公園で楽しめる鳥の鳴き声をと思い、梅や河津桜の花の蜜を目当てに飛び込んでくるメジロ、まだいるよと地鳴きを聞かせてくれるシメ、ヤマガラのゆったりとしたさえずり、公園の池に姿を見せてくれたクイナの鳴き声を紹介したい。
1 メジロ(目白) スズメ目メジロ科メジロ属 全長:12cm
 以前は「梅にウグイス」とよく間違われていたが、SNSで「#梅ジロー(ウメジロー)」で有名になったせいか「梅にメジロ」が一般化しつつある気がする。子どもの頃食べた「うぐいす餅」を見なくなってしまったのも原因かもしれない。英名は「Japanese White-eye」、しかし、目そのものは白くない、目の周りに白い縁がある。私がメジロの写真を撮れるのは花に群がるこの時期だけだ。
【写真①】2020年2月 さいたま市 【写真②】2019年3月 さいたま市
 【録音①】2021年1月 さいたま市 地鳴き  24秒
  「チーッ」「キリキリキリ」または「チリチリチリ」と聞こえる
2 シメ(鴲) スズメ目アトリ科シメ属 全長:19cm
 私はシメには思い入れがあって、その理由はフィールドスコープを購入し最初に見たのがシメで、太い嘴で堅そうな種子を噛み砕いていた。いかつい顔とずんぐりとしたスタイルはどこか憎めない。
 和名の由来は「シー」と鳴く鳥だから、「メ」は鳥の意味とのこと。たしかにスズメの末尾の「メ」も同じ意味だ。シメは本州では冬鳥として11月頃に渡来し、平野部の公園から山林、農耕地でも観察できる。シメの食事中に近づくと、種子を割るパチッ、パチッという音が聞こえて来て存在を知ることができる。また、飛んだ時に翼の白い帯を確認するとことでも識別が可能だ。
【写真③】2019年1月 北本市 ♂かな? 【写真④】2018年1月 北本市 ♀かな?
【動画①】2021年3月 さいたま市 24秒
3 ヤマガラ(山雀)スズメ目シジュウカラ科コガラ属 全長:14cm
 ヤマガラは少し標高の高い所で観察できると思っていたが、ここ数年は郊外の公園などでもよく観察できるようになってきた。全国鳥類繁殖分布調査によると、「ヤマガラは東北・中部日本海側地域よりも関東・中部太平洋側の地域で分布が拡がっていて、平地と標高の高い地域へと分布を拡大している」とのことで、垂直分布で両方に拡大している鳥らしい。早春からさえずりを聞かせてくれる。
【写真⑤】2020年10月 北本市 【写真⑥】2018年12月 桐生市
【録音②】2021年2月 東松山市 地鳴き  10秒
 「ビービービー」「チチ、ツーツツ」などと鳴く
【録音③】2021年2月 東松山市 さえずり  11秒
 ゆっくりとしたテンポで「ツツピー、ツツピー、ツツ」と鳴く
4 クイナ(水鶏) ツル科クイナ科クイナ属 全長:29cm
 3月6日、朝方、見沼田んぼの公園で鳥見をしていると、背後からクイナの鳴き声が聞こえてきた。振り返ると、いつもなら水辺の茂みに隠れているのに姿を見せてくれている。焦ってシャッターを押した。写真のように赤い下嘴や背中の褐色に黒の縦斑があるのが特徴である。飛ぶのは苦手らしい。
【写真⑦】2021年1月 さいたま市 【写真⑧】2021年3月 さいたま市
 【録音④】2020年12月 さいたま市 地鳴き  19秒
 「クイッ、クイッ」「キュッ、キュッ」などと甲高い声で連続して鳴く
 【動画②】2021年3月 さいたま市 14秒   残念、鳴いてくれなかった

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