*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No20 【ノスリ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 2021年の正月、一昨年の秋の台風による被害がまだ残る戸田市彩湖を歩いていると、数羽のハシボソガラスがスクランブル発進して猛禽類にモビング(擬攻撃、英語:mobbing)を始めた。飛び方から最初はトビかと思ったが少し小さい、近づいてくると腹の黒褐色の帯を確認できた。私でも識別できる「ノスリ」だ。
 ラッキーにも2羽、さらに鳴き声も聞こえてきた。チャンス到来、私は慌てながら「ウルトラマン」の主人公ハヤタ隊員が変身する時のスタイルで右手の録音機を空に向けてボタンを押した(表現が古すぎる、これがわかる方々は昭和生まれの人だけか)。そんな訳で写真は撮れず、今回のノスリの写真はすべて日本野鳥の会埼玉のIT委員会から拝借しました。
1 ノスリ(鵟)タカ目タカ科ノスリ属 全長:雄52cm 雌:57cm
 ノスリという名前の漢字はなんと狂+鳥と書く。あまりにもひどいと思い名前の由来を『山渓名前図鑑 野鳥の名前』で調べてみると、諸説はあるようだが「野に顔を「こする」ような低空飛行で、地面にいるネズミなどの獲物を探すのが名前の由来」とあった。
 非繁殖期の秋冬には平地に移動してきて、干拓地や農耕地、河川敷などで高い所にとまりモグラやネズミなどを探す姿がよく見られる。下の写真のように電柱の上や農耕地の杭を探すと見つけやすい。
 飛んでいる姿での識別ポイントは、「黒い腹巻き」がわかりやすい。また、ノスリの翼先が黒い。ホバリングも得意としている点もポイントと思われる。

額や喉が焦げ茶色、胸の縦斑も特徴の一つ
 【動画】2021年1月 群馬県館林市  52秒
  樹上で獲物を食べていると思われるノスリ(遠くから撮影したピンぼけ動画)
2 ノスリの鳴き声
  鳴き声:「ピィー、ピィー」、「ピエー」、「フィーヨー」などと鳴く
 『日本の野鳥図鑑 さえずり・地鳴き図鑑』によると、次のような指摘があった。
「(ノスリと)鳴き声が似ている鳥はオオタカだ。ただし、ノスリのほうが一声ずつ区切って鳴く点がオオタカと異なる」
 【鳴き声①】 2021年1月 戸田市 
 ピエー、ピエーと区切って鳴く  13秒

 【鳴き声②】 2021年1月 戸田市 
 2羽のノスリがハシボソガラスにモビングされている時の声  25秒
 ※カラスにモビングされているチョウゲンボウの声は「野鳥の声を楽しもうNo14」でどうぞ。

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