*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No19 【コハクチョウ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 2021年正月、冬の使者と呼ばれている白鳥に近場で会えないかと思い、毎年コハクチョウが飛来する埼玉県のほぼ中央に位置する比企郡川島町へ出かけた。
 その日は、地元の方達のカウントによると朝方62羽のコハクチョウが確認されていたとのことであったが、私が到着したのは正午近くで4羽のみ、しかし、しばらくすると小一時間の内に続々と帰還してきて60羽(内16羽幼鳥)をカウントできた。新年早々ラッキーな一日となった。
 今回はコハクチョウとオオハクチョウの識別とコハクチョウの生態と鳴き声を紹介したい。

【写真①】2021年1月 川島町
1 コハクチョウとオオハクチョウの識別
 見わけのポイントは「嘴の黄色い部分の面積」にある。左下のコハクチョウ(写真②)の嘴の黄色部は嘴の半分よりも小さい。それに対して右下のオオハクチョウ(写真③)は黄色部の面積は半分以上を占め、先端が尖っている。参考にアメリカコハクチョウ(写真④)の嘴は黄色い部分がほとんどない。
【写真②】2021年1月川島町 【写真③】2019年12月宮城県栗原
【写真④】2018年12月 群馬県館林市 アメリカコハクチョウ
 
2 コハクチョウ(小白鳥)カモ目カモ科ハクチョウ属 全長:120cm~130cm
 コハクチョウは全身白色で足と嘴は黒い。前述のとおり嘴の黄色部は嘴の半分よりも小さい。また、幼鳥は全身が灰色である。越冬地での生態は、夜間は池、湖沼、河川などで眠るが、朝、ねぐらから飛び立って、昼間は水田で落ち籾や草を採食し、夕方、ねぐらに戻り夜を過ごす。オオハクチョウは朝から移動することは少なく、水田よりも主にねぐら付近の水面で採食する。 
【写真⑤】2021年1月 川島町 奥がコハクチョウの幼鳥
 
 また、『野鳥図鑑』柴田佳秀(著)日本文芸社によると、全国的に日本での越冬個体数は増加傾向にあって、1970年代は2000羽程度であったが、80年代から急激に増え近年では数万羽が越冬している、とのことである。
 【動画①】2021年1月 川島町 川面でのコハクチョウ 18秒
3 コハクチョウの鳴き声
鳴き声:コホッ、コホッ、コォーコォーなどと鳴く 家族間で鳴き交わすことが多い
 【鳴き声①】2021年1月 川島町 鳴き交わし  28秒
 【鳴き声②】2021年1月 川島町 連呼する鳴き声  12秒
 【動画②】2021年1月 川島町
 家族と思われるコハクチョウの成鳥と幼鳥 鳴き交わしの声も聞こえる 17秒

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