*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No5 【キビタキ】 ***
報告: 大井 智弘

1 キビタキ(黄鶲) スズメ目ヒタキ科キビタキ属 全長:14cm

 キビタキは夏鳥として全国の平野部から山地の落葉広葉樹林などに渡来する。4月下旬から5月上旬の渡りの時期には、市街地の公園でも見られる。私の鳥仲間からの飛来情報では、今年は4月25日にはさいたま市大宮公園、28日には見沼自然公園で確認されていた。
オスの特徴は、鮮やかな黄色と黒で黄色い眉斑が目立つ、メスは体上面がオリーブ色の褐色で腰と尾羽が茶色である。
 このコーナーのNo4では「スマートフォンで録音入門」を書いたが、さっそく鳥仲間(日本野鳥の会埼玉会員)から投稿があった。スマホではなくカメラによる動画だがなんとキビタキが電線でさえずっている。
 私もGWに近所を散歩していると、桜並木からキビタキのさえずりが聞こえて来てビックリした。
普通は、次の動画のように新緑の中に隠れたキビタキが見られたらいいところなのだが、スズメに追い出されて民家のアンテナへ避難しているところに遭遇できてラッキーであった。
2 キビタキはものまね上手

 『日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑』(【監修】植田睦之 メイツ出版 2014年)によると、キビタキの鳴き声は次のように書かれている。
さえずり:「ピーリ、ピッピュルリ」などと繰り返す。
地鳴き:「ヒッ、ヒッ」や「ククッ、ビュル」などと鳴く。
 録音 さえずり:2019年6月 北本市  45秒
     地鳴き:2020年4月 さいたま市  13秒
 
 また、キビタキはものまね上手で、コジュケイの「チョットコイ」と聞こえる鳴き声を繰り返すことがある。ものまねなのか、鳴き声のレパートリーのひとつなのかわからない。

  2020年5月 さいたま市
 録音 さえずりの最後にチョットコイの繰り返し  29秒

  2019年6月 北本市
 録音 コジュケイの鳴き声を聞いたキビタキが小声でチョットコイ  42秒

 その他に、セミのような「ツクツクホーシ」という鳴き声は、東京都高尾山で聞いたことがあるが録音できていない。

3 キビタキとオオルリのさえずりの聞き分け方

 キビタキとオオルリのさえずりはよく似ていて難しいと言われる。そこで、上記の図鑑で調べてみると次のように書かれているので引用してみる。
(キビタキと)さえずりが似ているのはオオルリとクロツグミ。この2種が朗々とさえずるのに対して、キビタキはピーリ、ピッピュルリと区切ってさえずり、ピッピュルリの繰り返しも特徴的。

オオルリはしばしばジジッという濁った声で締めることがあるので、じっくり聞いていればオオルリかどうかわかる。
 上の説明をもとにしてオオルリのさえずりを聞いてもらいたい。

 録音 2019年6月 飯能市 オオルリ  49秒

参考サイト:「似た声聴き比べ」(鳥の鳴き声 マイスターへの道)
  https://www.bird-research.jp/1_shiryo/koeq/kikikurabe/kibitaki_s.html

4 全国鳥類繁殖分布調査から見えてきたこと

 夏鳥が増えているという話をよく耳にする。環境省による「モニタリング1000」の結果でキビタキの個体数をみると、増加傾向にあるとのことである。温暖化や森林などの環境の変化に対しての適応などいろいろな原因があるようなのでこれからも注目していきたい。

 さて、この春は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、各地の探鳥会や野鳥に関する集会や研究会も中止や延期を余儀なくされている。そんな中、5月22日(金)に「全国鳥類繁殖分布調査で見えてきた、全国的な鳥の変化」というライブ配信があり、たいへん興味深い内容であった。キビタキについても触れられていたので興味のある方は、下記サイトでご覧になれます。  https://www.youtube.com/watch?v=n-fswx9PeU4

 最後に、夏が近づき遠出する機会があるかもしれません、もちろん近場でも夏鳥たちの鳴き声のについてお気づきのことがありましたら、このコーナーへの投稿をよろしくお願いします。

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