*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No4 ***
【スマートフォンで録音入門】
報告: 大井 智弘

1 野鳥を録る
 『野鳥を録る -野鳥録音の方法と楽しみ方- 』(監修:蒲谷鶴彦・著者:松田道生・イラスト:水谷高英 東洋館出版社 2004年)という書籍を手に入れた。
 タイトルの「録る」にこだわりがあり、また、この本を執筆された3名の方々の名前を見ただけで豪華すぎる本である。
 本の冒頭に、日本の野鳥の声の録音における創始者でありその第一人者であった蒲谷鶴彦(1926年~2007年)先生が書かれた「野鳥録音のすすめ」という文章が載っている。
その中に次のような一節があるので引用させていただく。

「どうも鳥の声は覚えにくい。どうしたらよいか?」そんなときには「まず、野鳥の声を録音してごらんなさい。」と答えることにしている。・・・・・中略・・・・・鳥の声を録音するとなると誰でも、どんな鳥が鳴いているのか? どこで鳴いているのか? どんな声で鳴いているのか? と、今までより鳥の声に集中して耳を澄ませることになる。これによって、鳥の声がしっかりと記憶される。

 蒲谷氏の「まず、野鳥の声を録音してごらんなさい。」という言葉を信じて、今回はスマートフォンを使って録音にチャレンジしたい。

2 スマートフォンの動画機能で録音

 スマートフォン(以下スマホ)が一般に普及して、ちょっとした写真ならスマホでパチリが当たり前になってきた。しかもデジタルカメラよりも簡単に高画質で撮れる時代が到来している。それならば、鳴き声録音の入門には、野鳥と出会った時にポケットからすぐ出せるスマホのカメラアプリで動画撮影をしながら野鳥の鳴き声録音に挑戦するのが一番の近道だと考えた。

 最初に私の友人が撮って送ってくれた下の動画を見ていただきたい、短い動画だがシジュウカラのさえずりが入っている。
 いかがでしょか? おそらく、「シジュウカラが写っていないじゃないか?」と思われるかもしれないが、そこは割り切りが必要で新緑の中から聞こえてくるさえずりは爽やかそのものだと思いませんか?

 もう一つのスマホによる動画は、私が見沼田んぼの畑でヒバリが上空に舞い上がるところをねらって動画にしてみた。
 もちろんこちらもヒバリの姿は撮れていないが、さえずりはいい感じで動画のなかで流れてくれている。入門編なので、多少の風の音が入っているし、街中での録音なので雑音も入っているが気にしない。それよりもシジュウカラのさえずりも入っていて臨場感があると自己満足するのがポイントである。
3 スマホのボイス録音機能で録音

 次に動画ではなくスマホの録音機能を使ってみたい。スマホの機種によっていろいろあると思うが、iPhoneにはおそらく標準で「ボイスメモ」という録音アプリが搭載されているはずだ。ここではこれを利用して録音に挑戦した。
 まず一つ目は、5月のシジュウカラのさえずりを木の下でねらってみた。近くに水路があり、また道路も近く車の音もたくさん入っているが、これもそこの環境であるから仕方がない。近くでさえずっていたので意外と大きな声で録音できた。
27秒
 二つ目は、ヒバリが田んぼからさえずりながら舞い上がり降下してくるまでを録音してみた。少し長いがヒバリ以外に鳴いている鳥の声にも注意して聞いてもらいたい。
1分34秒

 ヒバリが舞い上がるのでさえずりの音は小さくなるが、すぐにハシブトガラスの鳴き声、カエルの声、カワラヒワのビーンというさえずりが何度も、そしてヒバリが降下してきた時のさえずりが微妙に「ビャアビャア」と濁ったような音へ変化して着地に至る。

4 野鳥録音の魅力

 先日、スマスコ(スマホ+スコープ)でオオヨシキリを狙ってみた。やっと野鳥の姿と小さな鳴き声が録れました。
 鳴き声を録音して、鳥の声をチェックしていく。この繰り返しが楽しくなれば野鳥録音の魅力の世界にはまること間違いなし。さらに、スマホでの動画や録音音源は貴重な資料であり、個人的な宝物にもなるので、是非トライしてみてもらいたい。
 そして、この「野鳥の声を楽しもう」のコーナーに一人でも多くの方が投稿していただけることを楽しみにしている。

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