1 ホオジロ(頬白)スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 全長:17cm
ホオジロの特徴は、茶色の背中に黒い斑紋が見られ、胸から腹は赤みのある褐色。飛び立つと尾の両外側が白く見える。和名の頬白と言う割には頬の白さは目立たない。
オスの過眼線と耳羽は黒い。メスはオスよりも全体的に淡色で顔の線も褐色である。
普段は草の中から「チチッ」と2~3回ずつ鳴く地鳴き( 10秒)が聞こえてくる。地鳴きが似ている鳥はカシラダカとアオジで、カシラダカは「チッ、チッ」と一声ずつ鳴き、音質が軽い感じがする。アオジも一声ずつだがやや音質が高く濁っている。地鳴きでの識別には注意が必要である。
ホオジロのオスは、繁殖期に見通しのきく目立つ木のてっぺんや電線で胸を張って複雑にさえずる。また、10月~11月にも少し活発にさえずるので楽しみたい。
2 「聞きなし」とは
昔から私たちは、鳥の声を人間の言葉に置き換える「聞きなし」に親しんできた。代表的な「聞きなし」には次のようなものがある。
ウグイス:「ホーホケキョ」も実は「法、法華経」という仏教にちなんだもの。
コノハズク:「ブッ ポー ソー(仏法僧)」。
フクロウ:「ホウホウ、ゴロスケホウホウ」は「五郎助ほうほう」、「ぼろ着て奉公」など。
私が好きなものは下の2つで
ホトトギス:「キョッキョ キョキョキョ(特許許可局)」
センダイムシクイ:「チヨチヨ ビー( 13秒)(焼酎一杯(ショウチュウイッパイグイー)」
3 ホオジロの「聞きなし」
日本野鳥の会『フィールドガイド日本の野鳥』によるとホオジロのさえずりは「チョッピーチリーチョ、チーツク」「チョッチョッスチョホイツケ」とある。これではなかなか口が回らない。そうなると「聞きなし」をしてみようと試みられたのだろう。
昔からの「聞きなし」が高野伸二(著)『野鳥を友に』(朝日文庫)に下記のものが載っていた。さて、皆さんはホオジロのさえずり(( 33秒 2019年11月戸隠にて)を聞いてどの「聞きなし」がお好みですか?
①「一筆啓上仕り候(イッピツケイジョウツカマツリソウロウ)」
②「源平つつじ白つつじ(げんぺいつつじしろつつじ)
③「丁稚賓附(でっちびんつけ)何時(いつ)つけた」
④「取って五粒二朱負けた」
⑤「ちんちろ弁慶皿持って来い」
⑥「ちょん米つけもちつけよ」
⑦「おらがとと三八(さんぱ)二十四」
⑧「札幌ラーメン味噌ラーメン」
石塚徹(著)『歌う鳥のキモチ』(山と渓谷社)には
⑨「ちょっとExcuse me」という「聞きなし」が載っていた。私はこの⑨がぴったりな気がする。
4 さえずりスタイルでわかる独身のホオジロ
ホオジロのさえずり方について、ピッキオ編著『鳥のおもしろ私生活』(主婦の友社)に、「独身のオスはのどの白色を目立たせて悲痛にさえずる。妻をめとったオスはあまりさえずらず、せいぜい小声での鼻歌(?)程度。」とあった。
下の2つの動画で比べてもらうとわかりやすいかもしれない。どちら動画も芝川第一調節池で撮影したものである。
(動画は雑音も多く、画像も揺れているのはお許しください) |