*** コロナが落ち着いたら行きたい魅惑の探鳥地 ***

小笠原・硫黄島クルーズ編 第1話(遠征時期2019.7.2~7.7)
文・写真:廣田純平
 新型コロナウイルスの終息が見通せず、不安な日々が続いているなかですが「きっと来年は!落ち着いたらあそこに行こう!」と皆様に夢と希望を持たせられることを期待するこの企画。第一弾は北海道・天売島でしたが、いかがでしたでしょうか?今回は第二弾として全く逆方向の小笠原そして硫黄島クルーズをご紹介します。「小笠原ってどうやって行くの?飛行機?」という方もいるかもしれませんので、ご紹介させていただくと小笠原へは船でしか行けません。地図を見ていただけるとわかりますが、途方もなく遠い…。
 東京から父島まで約1,000km、東京から南硫黄島までは約1,250km、父島から南硫黄島は約280km。時間にすると、東京の竹芝桟橋から父島まで船で24時間、父島から硫黄3島までも船で10時間程度。緯度で見ると沖縄や台湾とほぼ変わりません。硫黄3島は、北硫黄島、硫黄島、南硫黄島から成る3つの島の総称です。南硫黄島はNHKスペシャル「秘島探検 東京ロストワールド」で放送され、2017年に10年ぶりの学術調査の様子が放送され話題となりました。硫黄島クルーズは元々は太平洋戦争の激戦地の「硫黄島」の戦没者遺族のための船でもあり、僻地であることから年に1回の就航です。1週間近く休むことになるので定年後を待つか…でもその頃にこのツアーがあるかわからない!そして、この前年から海鳥熱が高まってきており「行ってみたい!」という欲が高まっていたのもあり、ことあるごとに上司に「来年の夏は1週間休みます!」と言い続けました 笑 有給休暇の5日取得義務も相まって、許可してくれた上司に感謝。(「新婚旅行以外で1週間休む人なんて今までいない」と言われました 笑)
 旅の行程は上記のとおりで、陸にいるより船の上のほうが長いのでは?という行程です。6日間のうち4日間は船での海鳥観察という状況です。八丈航路は行ったことあるという人のためにわかりやすく言うと、八丈航路で就航している「橘丸」は総トン数が約5,700トン、小笠原への「おがさわら丸」は総トン数11,000トン。重さを比べても約2倍程度のため揺れも大きくなく、一番安い船室でも枕・敷布団(マット)・掛布団完備、船内は無料のシャワーがたくさん、船内レストランも充実、そして観察できるデッキは6F・7F・屋上とかなり快適な船です。
 どうやってこのクルーズに参加したの?という疑問があるかと思いますが、4月中旬頃に小笠原海運のHPから予約もできます。ただこれはあくまで船のみです。私は小笠原に詳しい友人からのすすめで、小笠原専門のツアー会社「ナショナルランド」から申し込みました。船と父島での宿泊先を両方予約できるため、とても便利でした。
 航路での野鳥観察になじみが無い方、どんな鳥が見られるの?という方は、小笠原村観光局の「小笠原マガジン」をぜひ見てみてください!私もお世話になっている中村咲子さんが記事を掲載しています。
・おがさわら丸24時間の過ごし方 バードウォッチャー編 その①航路観察
https://www.visitogasawara.com/archive/archive-4124/
・おがさわら丸24時間の過ごし方 バードウォッチャー編 その② 船に寄ってくる海鳥
https://www.visitogasawara.com/archive/archive-4228/

【1日目】
 さて、前置きが長くなりましたが1日目。東京・竹芝桟橋を11時に出港します。2019年の7月は梅雨真っ只中。出港後もどんよりとして天気が続きます。東京湾内ではコアジサシが多く、さらにすすむとオオミズナギドリが増えてきて、アナドリがちらほら出てきます。ちょうど梅雨前線が伊豆諸島付近にあったため進むにつれて雨も降りだし悪天候。三宅島付近で見られたのはセグロアジサシ!初めてでした。そして、明日はカツオドリだ~と思っていたら、船首のほうでカツオドリが飛んでいました。硫黄島クルーズ記念と言うことで、八丈島と八丈小島の間を船が通過してくれました。八丈島を過ぎたあたりで、陽も沈んできてこの日は観察終了。
※八丈島と八丈小島の間を通過
【2日目】
 早朝に起きるともう小笠原海域です。梅雨前線を抜けているため超快晴です。夜のうちにアホウドリの繁殖地で有名な鳥島と孀婦岩を超えた海域です。ここまで来るとオオミズナギドリの影はなく、飛ぶミズナギドリたちは小笠原海域のミズナギドリです。オナガミズナギドリが多く、シロハラミズナギドリ、セグロミズナギドリも飛んでいます。ようやく少し明るくなり始めたなと思うと、見慣れない鳥が頭上を飛んでいきました。撮った人の写真を見るとなんとアカオネッタイチョウ!その後、白いゴミが浮いていると思ったらアカオネッタイチョウ、なんだあれは?と思ったものがクビワオオシロハラミズナギドリとびっくりが続きました。7時半~8時ごろになると、カツオドリが現れる時間帯と言われており、そのとおりに数羽のカツオドリが船に近づいてきます。彼らの目的は船に驚いて飛び出したトビウオを食べるためです。観察していると、トビウオがびゅーんと長く飛ぶのと同時に急降下し、トビウオを追いかけます。失敗したり成功したり。そんな様子も楽しめます。注意しなければいけないのがアカアシカツオドリの存在。運が良ければカツオドリに混じって船に近づいてきます。順光側だけでなく逆光側もチェックしなければと左舷デッキへ回るといたー!!!とにかく見たかったのでイナヅマが走ったような衝撃。しばらく船についてきてくれて楽しい時間が過ごせました。
アカオネッタイチョウ シロハラミズナギドリ 
オナガミズナギドリ セグロミズナギドリ
アカアシカツオドリ カツオドリ
 見たいと思っていたアカオネッタイチョウ、アカアシカツオドリに小笠原海域の初日から会えて大満足。そんなうちに父島に入港です。
 島内ではアカガシラカラスバトを探して、よくいるポイントをぐるぐる。その間にハシナガウグイス、通称オガサワラメジロ、イソヒヨドリなどを観察。外来種として問題になっているグリーンアノールも至る所で見つけました。
オガサワラメジロ ハシナガウグイス(幼鳥)
グリーンアノール 展望台から見る父島港
 この日は残念ながらアカガシラカラスバトは見つけられずに終了。翌日の硫黄3島クルーズに向けて、再度「おがさわら丸」に乗船します。
 旅の期間が長いので、1回じゃ終わりません 笑 この続きは第2話で~!

【お役立ちリンク】
小笠原海運(http://www.ogasawarakaiun.co.jp/
ナショナルランド(https://www.04998.net/
小笠原村観光局(https://www.visitogasawara.com/
小笠原マガジン(https://www.visitogasawara.com/archive/

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