5/17~18/’25 長野県・戸隠高原探鳥会 |
報告: 菱沼一充
野鳥写真:菊池秀一郎、深沢淳子 |
【1日目】 戸隠の天気は週間予報では両日とも雨の予報でしたが、予報サイトにより少し異なるので一番良い予報を信じて当日を待ちました。当日の天気は午前中が雨で午後は上がるようです。翌日の日曜日は晴れ時々曇りの予報なので、ほっと胸をなで下ろしました。森林植物園に行く予定を変更して、午前中は宿周辺(宝光社)の探鳥を行い、宿での昼食後、森林植物園内の探鳥を行うことにしました。
小雨の中バスに乗り込み、ループ橋経由で一路、戸隠を目指します。バスは高度を上げますが、次第に雨脚がひどくなり車窓からの山々もかすんでいました。桐の花は咲いていましたが、雨の中少し寂しげに見えました。宿に着き、広間に荷物を置かせてもらい、雨脚が弱くなるのを待ちました。昼食までの時間も少なくなったので、農地へは行かずに宿の裏の鏡池への道を歩きます。宿周辺は森林植物園にはいないスズメやツバメをはじめ、里山の野鳥を見ることが出来ます。道を歩いているとカワラヒワ、イカル、ホオジロの囀りが聞こえてきますが、雨のためか姿はよく見ることが出来ませんでした。宝光社へ向かう途中で、キビタキの声が聞こえてきましたが、やはり姿を探すのは困難でした。坂道は雨で滑りそうなので、宝光社への坂道は上まで登らずに途中で引き返しました。宿の近く、ホオジロではない聞き慣れない囀りが聞こえてきました。声の主はジョウビタキでした。最近は長野県の各所で繁殖期に見られているようです。思わぬ出会いに、皆さん大喜びでした。
宿の食堂で持参したお弁当をいただき休憩をしていると、宿の庭にカケスが訪れてくれました。窓越しですが、すぐ近くでサービス満点でした。 |
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午後は森林植物園へ向かいました。雨はまだ降っていますが気にするほどではありませんでした。バスを降りるとアオジの囀りやカラ類の声が聞こえてきました。森林植物園内のトイレは数が少なくなってしまいましたので、中央広場入口のトイレは貴重です。駐車場の脇には除雪した雪が積み上げられていましたが、今年は大分多いようです。木々の芽吹きは例年とそれほど変わっていませんが、残雪のおかげで草花の開花は遅れているようでした。森の学び舎前のシラネアオイは咲き始め、トガクシショウマは花盛りでした。
最初にみどりが池を確認します。池にはキンクロハジロの番がいました。ここで春にキンクロハジロを見るのは初めてかもしれません。池畔では小鳥が飛び回っています。確認するとコサメビタキでした。ミズバショウはさほど大きくなっておらず、ほどよい感じで咲いていました。アオジはあちこちで囀っていますが、見つけることは出来ませんでした。入口広場への道に入ってすぐに、シーシーシーとキバシリの声がします。すぐに姿を見つけることが出来ました。餌をおねだりする幼鳥のようで、しばらくの間かわいらしい姿を見せてくれました。ウグイス、クロツグミ、アオジなどの声を聞きながら入口広場へ向かいました。
入口広場から小川の小径経由で水芭蕉園へ向かいます。雨のため木道を歩く人は少なく、聞こえてくるのは、雨音と小鳥たちの囀りだけ。アオジやクロツグミが少し遠くで囀っていますが、やはり姿を見つけることが出来ません。ミズバショウは花の盛りで、こんな風景は久しぶりでした。木道のすぐ近くにカルガモの番がいて、こちらを興味深く覗いていました。小川の小径に入ると、ミソサザイやコルリの囀りが聞こえてきました。数人のバードウオッチヤーがコルリを探していましたが見つからないようでした。地元の知り合いの方から、いろいろなポイントを教えていただき、水芭蕉園へと向かいました。 |
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水芭蕉園もミズバショウの花盛りですが、観光客は少なく私たちだけのようです。頭上からクロツグミの囀りが聞こえてきました。空抜けですが、近くの梢の上の方で高らかに囀っていました。皆さん、興奮して頭上を見上げます。しばらくの間、じっとしていてくれて首が痛くなる頃、何処かへ飛んでいってしまいました。その後はカラ類やキビタキなどの声を聞きながら、入口広場へ戻りました。入口広場でニュウナイスズメ、コサメビタキ、サンショウクイなどを観察しました。みどりが池近くで、オオアカゲラを探しましたが残念ながら見つけることが出来ませんでした。近くの茂みから、小型の猛禽が飛び出て、池の畔のカラマツの梢に止まりました。お腹が赤く虹彩も赤いことから、どうやらツミの雄のようでした。1日目は時折、小雨の降るあいにくの天候でしたが、充実した1日となりました。 |

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【2日目】
朝の4時に起床して、4時半に宿を出発しました。天候は回復して青空がのぞいています。今日は絶好の探鳥日和になりました。今日のお目当ては、昨日見られなかった、コルリとクロジです。中央広場の入口でトイレの場所と今日のコースを確認しました。みどりが池は、まだ人の姿が見られず私たちのだけのようでした。池には昨日のキンクロハジロがまだいてくれました。池畔で何か鳥影が動きました。アカゲラのようです。アカゲラは木々の根元で餌を探していて、なかなか姿を見せてくれませんでしたが、ようやく全身を見ることが出来ました。 |

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コルリとクロジを見るため、池から高台園地へと向かいます。高台園地から水芭蕉園へと下る道はコルリとクロジが良く囀っていて、両種が見られる確率の高い場所です。コルリはあちこちで囀っていますが、なかなか姿を見ることが出来ませんでした。近くでクロジが、ホーイチッチと特徴のある声で囀っています。いました!逆光ですが比較的近くで囀っています。去年は姿どころか囀りも聞くことが出来ませんでしたが、お目当ての鳥に出会えて大満足でした。この後、すぐ近くの樹にアカハラの姿を見つけることも出来ました。
水芭蕉園に降りると、地面に近いところに朝霧が立ちこめて幻想的な眺めでした。モミの木園地の手前では、すぐ近くでコガラが姿を見せてくれ、私たちの近くで色々なポーズをとってくれてサービス満点でした。モミの木園地ではキクイタダキの囀りを聞き、姿もどうにか見ることが出来ました。近くで、ようやくキビタキの姿もしっかり見ることが出来ました。後はコルリの姿を見ることです。昨日、小川の小径のコルリが囀っていた場所に行ってみると大勢の人がいました。どうやら、コルリが見えているとのこと。私たちも混ぜていただき、探すと、ようやく姿を見つけることができました。コルリは緑の葉の合間の奥のカラマツの枝で囀っていました。どうにか全員がコルリの姿を見ることができました。 |

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この後は、入口広場経由でみどりが池に向かいました。途中でウグイスやキバシリを観察していると、先行していた別クループの人々が小走りに駆けていきます。クロツグミが道から近い、枯れ木の枝で囀っているのが見えました。絶好のロケーションのため、カメラを持っていた人たちは夢中でシャッターを切りました。クロツグミはしばらくの間、囀ってくれて皆さんを楽しませてくれました。みどりが池の上空ではハチクマが姿を見せてくれて、朝日に全身が輝き勇壮な飛翔でした。充実した朝探が終了し、皆さんは満足して朝食のため宿に帰りました。 |

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宿での朝食後、再び植物園へ向かいました。いつもならば1日目に鏡池、2日午後はキャンプ場を訪れていますが、今回は植物園中心に探鳥を行うように変更しました。みどりが池で集合写真を撮った後、入口広場へと向かいました。入口広場では、コサメビタキ、ゴジュウカラ、ヒガラが子育てや準備に大忙しでした。広場の足元には、去年は花が終わっていたカタクリやキクザキイチゲが可憐な花を咲かせていました。入口広場からはモミの木園地経由で随神門へ向かいました。木道を歩いていると、クロツグミ、アカハラ、アオジ、ノジコなどの囀りが聞こえてきますがなかなか姿を見ることは出来ませんでした。
随神門の手前に少し開けた場所にでると、クロジの囀りが聞こえてきました。クロジは笹藪の中か背の低い灌木で囀っていることが多く、案の定少し離れた灌木の上で囀っていました。足場も木道でないため、比較的スコープが使いやすい場所です。そのため、全員でゆっくり観察出来ました。クロジはしばらくの間、囀りや羽繕いした後、笹藪の中に降りていきました。随神門からささやきの小径に少し入ったところが、いつもの休憩場所です。一休みしていると、キビタキ、コサメビタキ、ゴジュウカラ、クロジなどが現れてくれて休憩どころではありませんでした。 |

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時間を大分費やしてしまったので参道を鳥居まで歩くことにしました。参道脇には小さな流れがあって、ニリンソウやリュウキンカの花が咲いていて目を楽しませてくれました。奥社入口のトイレによって、売店でソフトクリームを買って食べていると、上空にハチクマの姿が。かなり風切りが抜けており朝と別個体のようでした。
植物園入口まで戻り、宿からのお弁当を受け取って、みどりが池の畔で昼食を取りました。弁当を食べていると、誰かの猛禽との声。見上げると2羽の猛禽が上空を旋回していました。一羽はハチクマ、もう一羽はノスリでした。ハチクマは奥社入口と別個体。今朝の個体でしょうか?食後はみどりが池周辺でオオアカゲラの登場を待ちましたが、なかなか現れないので入口広場や辺りを再度散策して戻りました。
今回は鏡池やキャンプ場に行かないで植物園だけ回りました。そのためか観察種は45種と、ここ10年で最も少なかったのですが、それぞれの種を良く観察できて何時にもなく充実した探鳥会でした。 |