*** 探鳥会風景 ***

5/18~19'24 長野県・戸隠高原探鳥会
報告: 菱沼一充
野鳥写真:鷲崎敏章様
1日目
 戸隠の天気は18日が晴れ、19日が曇りと絶好の探鳥会日和です。今回はどんな野鳥たちに出会えるか期待に胸が高鳴ります。駅舎を出るとイワツバメ、ここ数年は確認していませんでしたが久々に出会うことができました。森林植物園へはループ橋経由で向かいます。昨年と同様に木々の芽吹きは大分早いようです。植物園入口でバスを降りて、探鳥の準備とトイレを済ませて、さあ、探鳥会の開始です。昨年トイレで営巣していたキセキレイはどうやら森の学び舎に引っ越したようです。
 みどりが池ではすっかり夏羽になったカイツブリがお出迎えです。マガモの雄も見られました。先ほどのキセキレイは池の畔で、盛んに採餌しています。水芭蕉はほとんど終わりで、代わりに池畔のミツバガシワの白が目立っていました。池からは高台園地経由で水芭蕉園へ向かいます。
 高台園地への小径では、近くでキビタキ、ウグイスの囀りが、遠くからはツツドリの声が聞こえてきます。気温が高くなってきたせいか、どこからかエゾハルゼミの鳴き声もしてきました。途中、比較的近いところでキビタキが囀っています。緑の中に鮮やかな黄色と黒の姿を見つけることができました。高台園地ではいつものようにコルリが囀っていましたが、距離が遠くて姿を見つけることができません。あきらめて水芭蕉園へ下りました。水芭蕉園でもミズバショウはほとんど残っていませんでした。アオジが良く囀っていますが、ノジコの声は聞こえてきません。アオジの姿は確認できませんでしたが、コサメビタキは近くで見ることができました。また、遠くでクロツグミが囀っていました。
 もみの木園地から鏡池と向かいます。ここでも、キビタキの姿を見ることができました。足下にはエンレイソウ、クルマバソウ、チゴユリ、ニリンソウ、フデリンドウなどが咲いています。ここ数年、アズマイチゲやキクザキイチゲは早い時期に終わってしまっているためか、見ることが難しくなっています。随神門への分かれ道を左折して鏡池へと向かいます。分岐点ではアカゲラの姿を見ることができました。天命稲荷を過ぎてしばらく行くと、コサメビタキの姿をよく見ることができました。池に近づくにつれ、蛙の声が聞こえてきます。モリアオガエルでしょうか?
 鏡池は観光客も少なく、静かでした。高齢のご夫婦が椅子でくつろいでいらっしゃいましたが、ちょっとお邪魔して我々はオシドリを探します。いつものように対岸の木々の下にいるのを見つけることができました。昼食後、記念撮影をして随神門へと向かいます。
 随神門への途中でモズを見つけました。いわゆる高原モズといわれている灰色のきれいな個体でした。随神門で休憩後、小鳥の小径経由で入口広場へと向かいます。園内ではあちこちからアオジのさえずりが聞こえているのですがなかなか良いところに出てくれませんでしたが、やっとアオジの姿をしっかりと見ることができました。入口広場ではサンショウクイ、ゴジュウカラ、キビタキなどが観察できました。地元ボランティアの方がコサメビタキの巣を教えてくれました。奥社参道駐車場のトイレによってからバスを降りた植物園入口へと向かいます。途中、メンバーの一人が迷子になるというハプニングもありましたが、森の学び舎で無事合流できました。
 宿はここ数年お世話になっている武井旅館さんです。由緒ある宿坊で歴史の感じられる建物です。床の間や欄間の絵も素晴らしいです。夜はおいしい食事、蕎麦、地酒を堪能しました。

2日目
 朝は4時起床の4時半出発です。早めに外に出てアカショウビンの声を待ちます。今年は残念ながら聞くことができませんでした(一名の方が聞いたようですが、残念ながら参考記録となりました)。早朝のコースはみどりが池から入口広場経由で小川のこみち、メインの木道を一周します。
 みどりが池でカイツブリにご挨拶。マガモはどこかへ行ってしまいました。昨日の迷子騒ぎでよく見られなかった、オオアカゲラの巣を確認します。親鳥は少し警戒しているためか近寄ってきませんので、早々に退散します。このあたりは、よくウグイスが囀っていますがなかなか姿を見ることができませんが、今朝は良いところに出てきて囀ってくれました。入口広場では昨日の鳥たちを再確認します。小川のこみちではキビタキ、ミソサザイ、コルリが囀っていましたが姿をなかなか見ることができません。水芭蕉園を過ぎて入口広場へ戻る途中でノジコやコルリが囀っており、やっと姿が確認できました。コルリが木道の内側で囀っているのは初めてのことです。かなり、高い位置から声が聞こえてきます。運良く、そこにいらした女の方が場所を教えてくれました。梢のかなり上の方で空抜けでした。
 一度、宿に戻って朝食後に再びみどりが池へ。今回は探鳥路を通って高台園地経向かいます。池畔でアカハラがかなり近くでも逃げずに居てくれました。どうやら、番いのようです。皆さんがじっくり観察できて良かったです。昨日は聞くことのできなかったホトトギスの声が頭上から聞こえてきました。探鳥路に入ってすぐに、今度は雄のアカハラが道に出てきてくれました。やはり、逃げずにのんびりと道で採餌して居てくれました。高台園地ではコルリが囀っていてくれましたが、笹藪の中のようでやはり探すのは困難でした。早朝にコルリは十分観察していたので、粘らずに水芭蕉園へ下ります。もみの木園地を経由して随神門へ向かいます。
 途中、出会った人から随神門の上のトイレの近くでオオルリが鳴いていたとの情報が得られました。随神門の近くのイチイの近くでシリー、シリーとキバシリの地鳴きが聞こえました。探すと居ましたキバシリです。しばらくの間姿を見せてくれましたので皆さんが見られたと思います。ここではキビタキ、アカゲラとみるのが大忙しです。随神門をくぐって奥社への杉並木を歩きます。左手からクロジの囀が聞こえてきました。目をこらしてさがしましたが、笹藪の中らしく見つけることができませんでした。
 トイレに近くに来ると頭上からオオルリの囀りが聞こえてきました。参道の両側から聞こえてきます。2個体いるかもしれません。皆さんで探して、ようやく姿を見つけました。オオルリは植物園内では少なく、やはりここまで上がってくると見ることができるようです。
 随神門まで戻り、休憩後、入口広場に向かいます。入口広場ではもう一度コサメビタキの巣を観察しました。ゴジュウカラも昨年と同じ場所で営巣していました。道に近い場所、人通りの多い場所で営巣しているのも戸隠森林植物園ならではです。奥社入口の蕎麦屋の前で迎えのバスを待ち、戸隠キャンプ場へ向かいます。
 キャンプ場入口で利用料300円を払って、キャンプ場に入場し、川岸の木陰で昼食をとります。キャンプ場は植物園と異なり開けた環境のため猛禽類も期待できますが、今回はどんな野鳥に出会えるでしょう。キャンプ場内の車道に沿って反時計回りに進みますが、この道は意外と車が通るので注意した方が良いでしょう。しばらく進むと右手の林の中からウグイスの囀りが聞こえてきます。灌木の上で盛んに囀っています。ここでもウイグイスの姿をしっかり確認できました。バンガローの間を抜けて、植物園へ続くささやきの小径を少し進むと熊注意の看板がありました。ささやきの小径は人通りも少なく熊に出会う確率も高いと思います。キビタキを観察したらキャンプ場へと戻ります。右手の林のからアカゲラの声が聞こえてきます。あたりを探すとアカゲラの巣が見つかりました。抱卵前らしく、雌雄で交互に巣穴に入っては木くずを吐き出していました。その他、イカルが見られましたが、残念ながら猛禽類はトビのみでした。
 今回、52種(宝光社付近の観察も含む)の野鳥が観察できましたが、クロジがかなり減ってしまったようで、昔に比べると少し寂しく感じました。