*** 探鳥会風景 ***

10/02/'22 さいたま市・民家園周辺定例探鳥会
(ビギナー対象)
報告: 大井 智弘

 今回の探鳥会は「ビギナー対象(非会員の参加可 要予約(20名)」で行った。参加者の中には探鳥会自体が初めて、また、芝川第一調節池を歩くことも初めてといった方が多くいらしてフレッシュな顔ぶれとなった。少人数制の利点を存分に生かし、参加者3~4名にリーダー1名のグループを5つ作り、参加者の顔が見える形態を採用した。
 ビギナー対象ということで、事前にアンケートを取ってみると、「鳥の見つけ方がわからない」、「鳴き声は聞こえても見つけられない」といった参加者が多くを占めた。そこで普段の探鳥会とは違う手法を試みた。
 一言でいうと「参加者が自分で見つける探鳥会」、そしてリーダーの役割は「最初から教えない探鳥会」であった。
 一般的な探鳥会では、リーダーが率先して鳥を見つけ望遠鏡に鳥を入れて「○○が入っています、ご覧ください」、「メスですねくちばしが赤いから」、「ホオジロの鳴き声は一筆啓上仕り候と聞きなしされます」などと話す。参加者はただ望遠鏡を覗いて見させてもらう。参加者はその場は楽しいかもしれないし、珍しい鳥も見られるかもしれないが、鳥を自力で見つける力がつくかというと疑問だ。
  私の個人的な考えだが、「自分で鳥を見つけて、鳴き声を聞いて、識別して、納得する」といった体験をしていく以外に鳥を見つける力はつかない。だからこそ、「参加者が自分で見つける探鳥会」を計画した。そして、リーダーの役割は、参加者が「あれ何、これ何?」という疑問を出したらはじめて話す。最初から「あそこにいます」とか「木のてっぺんを見てください」といった余計なお世話をしないことをメインテーマにした。
 参加者の皆さんの様子を見ていると予想以上に進んで鳥を見つけ、リーダーとの会話も弾んでいた。具体的には、この時期、芝川第一調節池ではモズの高鳴きが聞こえてくるが、高鳴きといっても色々な声があることを納得していたようであったし、モズを何度も観察することで雌雄の識別ができるようになった方もいた。また、群れで渡ってくるヒヨドリの声にもバリエーションがあることを自分で気づかれた方もいた。
 教えてもらうという待ちの姿勢ではなく、自分でワクワクしながら鳥を探す楽しさを体験していただけたのではないかと思う。以上のような試みが、果たしてどこまで鳥を見る力となったかはわからない。しかし、何らかの形できっかけとなったのであればそれは喜ばしいことだ。

最後に、参加者の方々から次のようなメールをいただいた。ありがとうございました。
  1. 「今回、「最初から正解を言わない」という工夫をしていただいたおかげで、鳥の見た目や鳴き声の特徴について、いつもより自分で考えながら観察できたことに気付き、大変勉強になりました。これからの野鳥観察のときにも心掛けていきたいと思います。」
  2. 「自分で鳥を見つけて、見分けをする意識を持つことを今後意識していきたいと思います!モズのいろいろな鳴き声のパターンを聞け、遠くの木にとまっているノスリなどを見られて楽しかったです。」
  3. 「自分で鳥を探すことを教えていただきました。マイフィールドにもっと足しげく通ってみます。」

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