*** 探鳥会風景 ***

12/11~12/’21 宮城県・伊豆沼、蕪栗沼、志津川探鳥会
報告:佐野 和宏

 すっかり遅れてしまいましたが、昨年12月の伊豆沼、蕪栗沼、志津川探鳥会の「探鳥会風景」がまとまりましたので、ご報告します。
【1日目】
 定刻に岩槻駅を出発し、東北自動車をひたすら北上します。Iリーダーからの案内を聞いていると、「新しい探鳥地」や「ご当地ならではの食事」に改めて期待が高まります。5時間の長旅の後、古川ICを過ぎたあたりからハクチョウやガンの群れがバスの中からでも確認できるようになりました。最初の探鳥地は化女沼。ここは化女沼伝説でも知られた観光地で、現在はダム湖となっていますが、もともとは自然の湖だったとのこと。2008年にはラムサール登録湿地に指定されています。この探鳥会の目標の一つはガン6種を見ることですが、宮城県にあるラムサール条約登録湿地4箇所を全てまわるというものもう一つ目標です。まずは一箇所をクリアです。ここにはミコアイサやカワアイサなど、思ったよりカモ類が多く、楽しめました。
 持参の昼食をすませ、次に向かったのはカリガネが見られかもしれないという田んぼ。マガンの群れを丹念に見て行くと、程なく黄色いアイリングの鮮やかな”お目当て”を発見。よく見ると額の白い部分も広くマガンとは違います。オオヒシクイもみられ、ここまででガン3種をみることができました。
化女沼 マガンの群れ カリガネ
(撮影:菱沼さん)
 今日の塒入りを見るのは伊豆沼の東端にある「伊豆沼野鳥観察館」。周囲には小さな池もあり、近くで水鳥がみられる探鳥ポイント。伊豆沼もラムサール登録湿地でこれで2箇所目となります。
 到着するとすでにオオハクチョウが集まっていました。暗くなるのにつれて四方からそくぞくとガンが返ってきます。よくみるとこの中に白い集団が混ざっています。どうらやハクガンのようです。20羽はいるでしょうか?こんなにたくさん一度に見るには始めてでした。これでガン4種目です。
 今回は12月の探鳥会ということで冷え込むのが心配でしたが、この日はびっくりするほど暖かく、鳥見に集中できたはのなんといっても良かったです。
伊豆沼のハクチョウ マガン、他 ハクチョウ
ハクガン 伊豆沼 観察台から
【塒入り】 32秒
                    
 コロナ禍ということで宿はビジネスホテル。チェックインを済ませ、夕食の為にバスで向かったのは老舗の天然川うなぎ屋、割烹清川。周辺には他にも有名なうなぎ屋さんが多くありますが、「清川」はその中でも300年の歴史を誇る名店。うな重はさすがのお味で大満足。ご馳走さまでした。
 ちなみにホテルは登米市の市街地にありますが、お店があるのはここからここから10kmほど離れた登米市登米。北上川沿いに古い町並みの残るこのあたりは旧市街地と思いきや、ちょっと違うようです。読みは”とめしとよま”と、なんだか紛らわしいので調べてみました。ここは合併により登米市となったものの、その昔は宮城県北部の中心として栄えた登米(とよま)町とのこと。『300年の歴史』というのにも納得がいきました。
 宿へ戻る前に寄ったのは、「清川」からほど近いところにある、これも歴史を感じさせる「ダイレー酒店」。閉店時間は過ぎていましたが、これから行くからと、開けていてもらいました。店内には飲んべえでなくても目移りするほど、所狭しと銘酒が並んでいます。お土産に地酒を買って本日の全行程を無事終了。宿でゆっくりとお風呂につかり明朝の朝探に備えます。

【2日目】
 飛び立ちを観察する蕪栗沼は3箇所目のラムサール登録湿地。昨晩からは曇りとなり冷え込まなかったので、今日も奇跡的に暖かい中で観察。沼に浮かぶ鳥を見てみると昨日の伊豆沼とは大分様子が違い、シジュウカラガンがとても多くいます。この鳥を探して田んぼを探し回った10年前からは想像もできない風景です。これも繁殖地で保護を続けてくれている方のおかげと、とにかく感謝。これでガンは5種目となり目標まであと1種です。
 天候や時期によるものでしょうか、飛び立ちは毎回違った様子となりますが、今日はなかなか飛び立ちません。だいぶ明るくなってから、一斉に飛び出しました。これは圧巻でした。
蕪栗沼 朝焼け
(撮影:近藤さん)
シジュウカラガン
(撮影:菱沼さん)
【飛び立ち】 44秒
         
 宿にもどり感染防止策のとられたホテルの食堂で黙食。バイキング形式ですが、料理を取る際はビニール手袋をします。これがコロナ禍でのスタンダードのようです。
 最後の探鳥地、志津川湾は4箇所目のラムサール登録湿地。小さな島が点在する湾はリアス式海岸で形成されて、この複雑な地形によって干潟を含めた様々な生息環境が揃っています。また黒潮(暖流)と親潮(寒流)がぶつかっているところでもあり、この為、海藻がとても多いそうです。ガン6種目のコクガンはこの海藻が大好物で、それでここへ集まってくるという訳です。早速、間近で見ることができました。
 湾内を観察しながらたどり着いたのは南三陸・海のビジターセンター。館内にはオオワシの剥製などもあり、しばし見学。スタッフからは野鳥情報を聞くこともできました。2階のテラスから海を見渡すとコクガンがたくさん。100羽以上はいたでしょうか。
 昼食とお土産は南三陸さんさん商店街で。もうお気付きかと思いますが、このあたりは東日本大震災で大きな被害があったところ。この商店街は震災の翌年に仮オープンし、2017年に今のような施設となりました。復興の象徴として志津川湾で採れる海の幸を楽しめる様に、飲食店、鮮魚店、土産店が軒を連ねています。
コクガン ビジターセンター前から観察 南三陸さんさん商店街
 昼食は”弁慶鮨”の 『冬のみかく丼』。ここならではの新鮮な魚介を堪能できました。
 お土産を買ってバスに乗り込み帰路へ。しばらくは未練がましく車窓からハクチョウを探します。渋滞もなく無事に岩槻駅へ到着して全行程終了。参加の皆様、大変お疲れ様でした。

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