*** 野鳥記録委員会の最新情報 ***

ニシセグロカモメ
英名 Lesser Black-backed Gull
学名 Larus fuscus
分類 チドリ目カモメ科カモメ属  

 2015年 4月 2日午後4時ごろ、I幹事により、春日部市内を流れる大落古利根川の八幡橋下流で写真撮影 されました 。検討の結果、当委員会は332/332 種目の野鳥として県内野鳥リストに追加することにしました。
 「大型カモメのグループ」の学問上の分類は、現在でもまだ流動的なものと考えられ、議論はさらに続くと思われます。しかし、『日本鳥類目録』改訂第7版(2012年)ならびに『フィールドガイド日本の野鳥』増補改訂新版(2015年) が示す見解を、現時点における「ひとつの到達点」ととらえて、当委員会はそれにならうこととしたものです。 したがって、今回のニシセグロカモメの記録は、今後の分類研究の動向次第では修正が必要になるかもしれません。
 さて、本個体は、①嘴の色と同じくらいはっきり足が黄色いこと、②下嘴先端の赤斑が横長で大きいこと、③初列風切の白斑が小さいこと、④初列風切の換羽が完了していること、などから、ほぼ夏羽の、ニシセグロカモメ成鳥と判断しました。ただし、上掲写真の撮影時に、その場に居合わせたカモメ類はなく、本個体と他のカモメ類との背中の灰色の濃淡の差異を直接見比べることはできなかったことなどから、本稿においては、亜種のレベルまでの判断は保留します。また、キアシセグロカモメ Larus cachinnans は、体型や顔付き(例えば、全体のシルェツト、嘴の長さや額の形、など)が異なるうえ、 足がこれほど濃い黄色を呈することはないと思われます。
 なお、当委員会は、本誌2005年 6月第254号において「キアシセグロカモメ?」という参考記録を発表していますが、当時の『日本鳥類目録』にニシセグロカモメやキアシセグロカモメの記載はなく、単に 「足が黄色っぽいセグロカモメがいた」 という程度の報告であり、現今のキアシセグロカモメについての知見を踏まえた観察事例ではありません。


(『しらこばと』2015.10 No.378,p4 野鳥委員会の最新情報 より)

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