*** 鳥獣保護管理員の落書き帳 ***

鳥獣保護員・エトロフ小林の 『落書き帳』 第7回 籠で鳴(泣)く子は、いねが~
 ところで「エトロフはマンガが大好きだ!大・大・大・大好きだ!」です。「おそ松くん」「ゲゲゲの鬼太郎」などが好きだった子供のころから、オーバー60の今でも大好き。最近、よく読むのは「夜廻り猫」です(深谷かほる・講談社から単行本1~3巻発売中)。

 主人公は、遠藤平蔵(えんどう へいぞう)という野良猫。トレードマークは頭に載せた猫缶。怪鳥に片目を奪われた子猫・重郎を懐に抱き、毎晩「泣く子は、いねが~(いないか~)、一人泣く子は、いねが~」と街をめぐります。そして,涙を流している人を見つけると、その話を聞き、ともに飲み、ともに怒り、泣いて…やがてその人の涙が乾き、明日を生きる力が戻ってくると、平蔵は「にっこり」と笑って、去ってゆきます。

 「夜廻り猫」が気に入ったのは、登場する猫たちの魅力と、たった8コマで泣いたり笑ったりできるストーリー。そして、平蔵の“街めぐり業務”に親近感を持ったから。

 エトロフの業務の場合、街をめぐるのは夜ではなくて、日が出ている時間。探すのは、“籠で泣いてる(鳴いてる)野鳥”。いわゆる違法飼養されている野鳥です(*)。
*:2012年の法改正以降、それ以前に合法的に入手した鳥を除き、野鳥の愛玩飼養は一切できません。

違法飼養は「エッ!こんなところで?」と思うような住宅街でも結構あります。さいたま市見沼区の自宅周辺だけで3件見つけました(それぞれについては、また後日)。さすがに近所には、いなくなったようなので、最近では、探鳥会の行き帰り、友達の家を訪ねる時などにはいつも、「籠で泣く子は、いねが~」と耳をそばだてております。

皆様のお家の近所にも“籠で泣く野鳥”が、いませんか? ちょっとパトロールしてみましょう。


飼われているのはメジロが多く、他にウグイス、オオルリ、ホオジロ、ヒガラ、クロツグミ、コマドリ、etc…あきれるほど、いろんな鳥が飼われていますが…
<平地の探鳥会ではめったに見られないような鳥のさえずりが、①渡りの季節でもないのに②住宅街で聞こえたら、違法飼養99.5%、鳥のCD など0.5% >だと思ってください(注:数字に根拠は全くありません。イメージです)。

厄介なのはメジロ。都市部の住宅街でも、周囲に緑地があったり庭が多かったりすれば、ふつうに生息しています。鳴いているのが籠の中か否かの判断が必要になりますが、「いつ通っても必ずといっていいほど、メジロの声がする家」というのは、かなりグレー。 自然界では、メジロに限らず多くの鳥が、複数の採食場をあちこち回って暮らしています。「ここに行けば必ず〇〇が見られるって聞いたのに…」とガッカリした経験、バードウォッチャーなら誰でもありますよね。「いないことも、ある」が自然なんです。

 籠で泣いている子を見つけたら、あるいは、かなりグレーな家を見つけたら・・・とりあえず、文末の連絡先に連絡しましょう。各環境管理事務所は、場所によって管轄が決まっていますので、ご確認ください。エトロフはじめお近くの鳥獣保護管理員にご相談されても結構です。警察は、よほど悪質なケースでないと、まず動いてくれません。悪質なケースとは、環境管理事務所で何回注意してもダメな場合とか、バックに密猟組織のニオイがする場合などです。

 近所に野鳥を飼っている人が居るけど、その後のつき合いを考えると告発しにくいよね、という方がいらっしゃいますが、その点はご安心ください。情報提供者については確実に秘密を守ります。

 少なくともエトロフは秘密を守ります。目の前に札束積まれても、しゃべりません!ロマネ・コンティ(*)やモン・ラッシェ(**)並べられても…並べられたら・・・並べられたら・・・
せっかくなのでご馳走になっておいて、「飲んだことない高級な酒飲んだら、酔っぱらって記憶がぜ~んぶ飛んじまったよ~」

(*)赤ワインの最高級銘柄 (**)白ワインの最高級銘柄 いずれも飲んだことありません。

各環境管理事務所の連絡先は、以下をご参照ください。
http://wbsj-saitama.org/kankyokanri_office.html
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