*** 鳥獣保護管理員の落書き帳 ***

 鳥獣保護員・エトロフ小林の 『落書き帳』 第17回
ターニングポイント

ごきげんよう。エトロフです。

 昨年の目標「干支(イノシシ)を食べる」を達成しないうちに、年が変わってしまいました。今年の干支は食べません。ちなみにペルーでは、クイと呼ばれるモルモット(テンジクネズミ)の一種が、お祝いのご馳走として食べられているそうです。

 今回は、一介の鳥獣保護員のグチとか落書きではなく、野生の生きものをこよなく愛する一介のナチュラリストとして、まじめなことを書きます。

 「SDGs」という言葉を耳にしたことがある方は多いでしょう。Susutainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で「エスディージーズ」と読みます(最後の小文字の「s」は複数形の「s」で、目標が複数であることを示しています。簡単に説明しますが、もう知っているよという方は、飛ばしてください。(願わくは、ひとりでも多くの方が、飛ばしてくれますように!)

 SDGsとは、2015年に開催された国連サミットで世界中のリーダーにより採択された国際社会の共通目標のことで、<17の目標>と<169のターゲット(具体的な目標)>から構成されています。まず<17の目標>を紹介します。

①貧困をなくそう  ②飢餓をゼロに ③すべての人に健康と福祉を ④質の高い教育をみんなに ⑤ジェンダー平等を実現しよう ⑥安全な水とトイレを世界中に ⑦エネルギーをみんなに そしてクリーンに ⑧働きがいも経済成長も ⑨産業と技術革新の基盤を ⑩人や国の不平等をなくそう ⑪住み続けられるまちづくりを ⑫つくる責任 つかう責任 ⑬気候変動に具体的な対策を ⑭海の豊かさを守ろう ⑮陸の豊かさも守ろう ⑯平和と公正をすべての人に ⑰パートナーシップで目標を達成しよう

続いて169のターゲットの紹介を…いたしません(あまりにもボリュームがあるので)。

さらに、これらの目標には「2030年までに達成」と期限が設けられています。その理由は、後ほど。

ところで、目標を達成すべき人は誰なのでしょう?
 イメージ的に「言い出しっぺの国連の偉い人たち」と思う方もいるでしょう。ところが違うのです。目標の達成が求められているのは、これを書いているエトロフであり、読んでいるあなたであり、あなたがお勤めしている企業・公共機関・学校・病院etcであり、あなたが週末に来てくださる探鳥会を主催している野鳥の会であり…
 
要するに、地球という一つの惑星上で、何らかの活動をしているすべての人類に対してなのです。個人でも組織でも、それぞれの身の丈に合わせて、出来る限りの努力が求められています。

 もちろん17の目標すべてを達成しなさい、というわけではありません。それぞれの活動する分野によって力を集中すべき目標がきまってきます。たとえば、すべての企業は⑧⑨が、さらに製薬会社だったら③が、トイレメーカーだったら⑥がメインの目標になるでしょう。

 しかし、それだけやっていればOKというわけにはいきません。メインの目標達成に邁進する裏で、セクハラ・パワハラやり放題、残業時間が月に100時間オーバー、派遣労働者や外国人労働者の待遇最悪、といったことをやっていたら、アウトです。株主にそっぽ向かれ、株価がダダ下がりになるそうです。

 ちなみに日本の企業は…残念ながら(人によっては幸いなことに、と言うかも)、現時点では、そこまでSDGsの達成が要求されていないようですが、まあ、時間の問題でしょう。

 SDGsの達成はもちろん、(公益財団法人)日本野鳥の会にも求められ、野鳥の会では実際に、目標の⑭⑮に加え⑦⑬にも力を入れて活動しています。そして、あまり意識している人は多くないかもしれませんが、日本野鳥の会の連携団体にも同様に目標達成が求められています。地球上で活動しているのだから、当然ですよね。

SDGsのマーク

ところで、目標を達成すべき人は誰なのでしょう?
 イメージ的に「言い出しっぺの国連の偉い人たち」と思う方もいるでしょう。ところが違うのです。目標の達成が求められているのは、これを書いているエトロフであり、読んでいるあなたであり、あなたがお勤めしている企業・公共機関・学校・病院etcであり、あなたが週末に来てくださる探鳥会を主催している野鳥の会であり…
 
要するに、地球という一つの惑星上で、何らかの活動をしているすべての人類に対してなのです。個人でも組織でも、それぞれの身の丈に合わせて、出来る限りの努力が求められています。

 もちろん17の目標すべてを達成しなさい、というわけではありません。それぞれの活動する分野によって力を集中すべき目標がきまってきます。たとえば、すべての企業は⑧⑨が、さらに製薬会社だったら③が、トイレメーカーだったら⑥がメインの目標になるでしょう。

 しかし、それだけやっていればOKというわけにはいきません。メインの目標達成に邁進する裏で、セクハラ・パワハラやり放題、残業時間が月に100時間オーバー、派遣労働者や外国人労働者の待遇最悪、といったことをやっていたら、アウトです。株主にそっぽ向かれ、株価がダダ下がりになるそうです。

 ちなみに日本の企業は…残念ながら(人によっては幸いなことに、と言うかも)、現時点では、そこまでSDGsの達成が要求されていないようですが、まあ、時間の問題でしょう。

 SDGsの達成はもちろん、(公益財団法人)日本野鳥の会にも求められ、野鳥の会では実際に、目標の⑭⑮に加え⑦⑬にも力を入れて活動しています。そして、あまり意識している人は多くないかもしれませんが、日本野鳥の会の連携団体にも同様に目標達成が求められています。地球上で活動しているのだから、当然ですよね。


 ところで目標達成には2030年という期限がある、と書きましたが・・・

 今からもう、20年近く前。その頃すでに熱帯雨林の過剰な伐採と、それにより多くの野生動物が減り続けていることが問題になっていました。当時、こんなことが叫ばれていました。「オランウータンを保護したかったら、まず現地の若者たちすべてがケータイ(スマホ登場前です)でデートの約束ができるようにしなくてはならない」 つまり野生生物を保護したかったらまず、貧困の問題を解決すべきだ、というアピールです。
 意外にも早く、状況が変わってしまいました。それも悪い方に。今では「オランウータンも、現地の人々も」同時に救わなければ、間に合わない状況になってしまっています。 <地球環境の破壊を止め、いい方へ舵を切る最後のチャンス>に間に合わないのです。舵を切る最後のチャンスが、これからの10年間なのです。

 こういう話題になると必ず「温暖化なんて嘘だ」とか「温暖化詐欺」だとか声高に叫ぶ人々が出てきます。嘘だったら、こんなに嬉しいことはありません。めんどくさい目標達成も何もしなくても、このまま地球環境が快方に向かうのなら、こんなにラッキーなことはありません。

 しかし万が一、何もせずに放置して、壊滅的な災害が起こり、自分が巻き込まれたらどうしますか?温暖化詐欺だと嘲笑っていた人々は責任取ってくれません。

 「明日は晴れです」という天気予報を信じて、傘を持たずに出かけ、ずぶぬれになって風邪をひいても、気象庁も気象予報士も天気予報を放送したテレビ局も責任取ってくれません。それと同じです。

 「有馬記念はアーモンドアイ!これしかない!」と叫んでいたスポーツ新聞の予想を信じて…ヒドイ目にあった方も多いと思いますが、予想をした記者も編集長もスポーツ新聞を売ってた駅の売店も責任取ってくれません。それと同じです。

 「今だけ・金だけ・自分だけ」という社会が、いつまでも続くわけがありません。私達が住む地球そのものが、続かないのです。ターニングポイントが近づいています。自分にできることは何か、野鳥の会にできることは何か、真剣に考えないといけない時期です。
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