*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No41 【カラ類の鳴き声】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 3月に入り気温の上昇と共にシジュウカラの「ツピ、ツピ」「ツツピ、ツツピ」、またヤマガラのゆったりとした「ツツピーツツ、ピーツツ」というさえずりが聞こえてくるようになり「春近し」を感じられるようになった。
 今回は、シジュウカラを筆頭にカラ類の鳴き声(地鳴き)による驚くべき言語能力(音声コミュニケーション)の一端を紹介したい。

 【写真①】2017年1月 北本市】
1 シジュウカラの鳴き声に単語や文法がある
  2021年5月23日、NHKの番組「ダーウィンが来た」で「聞いてびっくり!鳥語講座」が放送された。
 番組の内容は、京都大学白眉センターの鈴木俊貴特定助教(動物行動学)が研究をしているシジュウカラの仲間(コガラ、ヤマガラ、ゴジュウカラなど)の鳴き声(言葉)についての解説であった。
 特に興味深かったのは、シジュウカラの「ヂヂヂヂ」という声に仲間たちが集まることから、この鳴き声は主に「集まれ」という音声コミュニケーションとして使われているという点であった。番組で説明されていたシジュウカラの鳴き声とその意味についてまとめると以下のようになる。

 【写真②】2017年2月 さいたま市
【鳴き声①】「ピーツピ」・・・・「警戒しろ」
          2021年5月 さいたま市  19秒
【鳴き声②】「ヂヂヂヂ」・・・・「集まれ」
          2021年1月 さいたま市  12秒
【鳴き声③】「ピーツピ」「ヂヂヂヂ」・・・・「警戒して集まれ」 
          2021年5月 さいたま市  24秒
2 ヤマガラの鳴き声「ニ ニ ニ ニ ニ ー!!」の意味は?
 鈴木俊貴氏が2022年2月22日(ヤマガラの日)に次のようにツイートにしていた。もう説明はいらないだろう。
ツイート①
「ヤマガラが「ニ ニ ニ ニ ニ ー!!」と激しく鳴いたら周りに注意!モズやタカ、フクロウなどがいるはずです。この声で仲間を呼び集め、みんなで追い払いにかかります。」
ツイート②
「ニ ニ ニ ー ニ ー ニ ー ニー!ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ー ニ ー ニ ー ニ ー ニ ー ニ ー!!ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ー!!ニ ニ ニ ニ ー ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ !!緊急事態、みんな集まれ!!の意味です 音量注意」

 【写真③】2020年10月 北本市
【鳴き声④】「ニ ニ ニ ニ ニ ー!!」・・「緊急事態、みんな集まれ」
         2021年10月 北本市   4秒
         2022年 2月 山梨県早川町   9秒
3 コガラの「ディー、ディー、ディー」の意味は?
 前述の番組内でも紹介されていたが、コガラの「ディー、ディー、ディー」にも重要な意味がある。それはやはり「集まれ」という意味だ。
 『ぱっと見わけ 観察を楽しむ 野鳥図鑑』(石田光史(著)樋口広芳(監修)ナツメ社)によるとコガラの「ディー、ディー、ディー」には「採食する場所を見つけるとこの声で混群内の他種に知らせる」とあった。
 まだまだカラ類の鳴き声には奥深い意味が隠されているようだ。今後の研究成果を大いに期待したい。

 【写真④】2022年2月 山梨県早川町
【鳴き声⑤】「ディー、ディー、ディー」・・・・「食べ物があるよ、みんな集まれ」
         2021年7月 栃木県矢板市   24秒
         2022年2月 山梨県早川町   10秒

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