*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No26 【コゲラ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 春、鳥たちは繁殖に忙しい。4月上旬、留鳥たちのさえずりを聞きながら歩いているとキツツキのドラミングが聞こえて来た、それも大きな音量で。アカゲラか?と思ったが、犯人は枯れた竹を突く「コゲラ」であった。4月下旬には写真①のように巣に餌を運ぶ姿も見られた。
 今回はコゲラに注目し、キツツキの仲間のさえずりとも言われているドラミングと鳴き声について紹介したい。

【写真①】2021年4月 さいたま市
 1 コゲラ(小啄木鳥)キツツキ目キツツキ科アカゲラ属 全長:15cm
 コゲラは街中でも見られる小型のキツツキである。秋冬期には種の異なるシジュウカラやメジロたちと混群を形成している姿がよく観察される。あの「ギィーッ、ギィーッ」という鳴き声はバーディングを始めたばかりの方でもいち早く覚える声だろう。コゲラは、今でこそ一年中見られる留鳥となっているが、都市近郊に進出してきたのは1980年代からである。枯木や枯枝内の昆虫などを補食する。甘党な一面もあって桜の蜜を吸ったり柿の実を食べたりする。オス(写真③)は後頭部に赤い斑紋が出る。
【写真②】2018年2月 千葉県習志野市 【写真③】2018年2月 さいたま市
【動画】2021年3月 坂戸市 35秒 枯れ枝を突くコゲラ
2 キツツキの仲間はなぜ木を突くのか
  『鳥のおもしろ私生活』(ピッキオ編 主婦と生活社 2008年)によると3つの目的があるという。
以下引用
  1) 木の中にいる虫を捕らえるため
  2) 巣穴、ねぐら穴をあけるため
  3) ドラミングのため
 ドラミングとは、なわばり宣言や求愛、その他のコミュニケーションのために木をたたいて音を出すことで、さえずりと同じ役割といわれる。0.5秒~1秒程度だが、その間に10~20回もたたくので、「タララララ・・・・・・」と聞こえる。 引用終了
 キツツキの仲間の雄は、早春から秋にかけてドラミングをするが、繁殖期の春がもっとも盛んとのことだ。しかし、コゲラのドラミングは短く音も小さいので聞き逃してしまうことが多い。
 皆さんもコゲラの存在を知るのは、おそらくドラミング以外の鳴き声を聞いた時だと思われる。

【写真④】2010年12月 さいたま市
コゲラが巣穴から顔を出していた
3 コゲラの鳴き声・ドラミング 
【録音①】2021年2月 さいたま市
 27秒 「ギィーッ、ギィーッ」と鳴く
 ※ 後半にドラミングが小さな音で聞こえる

【録音②】2020年10月 さいたま市
 15秒 「キッキッキッキッ」と連続して鳴く
 ※ この鳴き声は繁殖期に多いらしい

【写真⑤】2021年3月 さいたま市
 【録音③】2021年4月 さいたま市
 17秒 ドラミング「トロロ、トロロ、トロロ」と聞こえる
 ※ 枯れた竹を突いていたので音が大きい。
 巣穴作りには竹の低い位置でドラミングをしていたので違いそう。
 虫を捕らえようとしていたと思われるが、求愛なのかなわばり宣言なのかは不明。

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