*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No25 【ツグミ】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
  3月下旬から4月は、冬鳥と夏鳥が入れ替わる時期で留鳥以外の鳥たちがいなくなり少し寂しい時期である。毎年、秋には冬鳥たちの初認日が話題となる。春にはウグイス、ヒバリの初さえずり、ツバメの初認日などが話題になるが、記録好きのバーダーの皆さんなら渡り鳥がいなくなった最後の日も気にしていると思われる。今回は意識すればこれからでも終認日が確認できるツグミに注目してみたい。

 1 ツグミ(鶫)スズメ目ヒタキ科ツグミ属 全長:24cm
【写真①】2018年2月 さいたま市 【写真②】2018年2月 さいたま市
 ツグミは代表的な冬鳥で、11月ごろ群れで渡来したばかりは、樹木にとまり実を採食するので地上にはあまり降りてこない。実を食べ尽くしてしまう頃になると降りてきてミミズや虫の幼虫などを補食し始める。アカハラ、シロハラは藪に隠れていることが多いが、ツグミは公園の芝生などの明るい場所に出てくるので観察しやすい。
 体の色には個体差があるが、写真のようにクリーム色の眉斑が目立ち、胸には黒い帯と縦斑が見られる。また、体上面は黒っぽいが風切と雨蓋はオレンジに近い赤茶色である。

【写真③】2020年11月 さいたま市
 2 「だるまさんが転んだ」のポーズ
 ツグミの特徴的な動きは、早足で数歩歩いてピタッと止まる動きで「だるまさんが転んだ」のポーズに似ている。また、電線や枝にとまっている姿も姿勢がいいので遠くからの識別ポイントにもなる。

【動画】2021年3月 さいたま市 「だるまさんが転んだ」ポーズをとるツグミ 38秒
3 ツグミの鳴き声
 ツグミという和名の由来について『身近な鳥のふしぎ』(細川博昭(著)サイエンス・アイ新書)には次のように書かれている。少し長いが引用すると「ツグミという名前は奈良時代から使われていた。だが当時は近種も含めた呼び名だったようだ。名前の由来としては、春先はしきりにさえずるのに、夏至のころになるとぱったりと声を聞かなくなることから、「口をつぐむ」→「つぐみ」となった説がある。」
 ツグミは春、北へ向かう前にクロツグミのさえずりに似た声を出すとのことなので一度聞いてみたいものだ。また、帰り際になると体の色が濃く綺麗な色合いになるようだ。

【写真④】2021年3月 さいたま市
  地鳴き:【録音①】 2021年4月 さいたま市
    「ククッ、ククッ」「クワッ、クワッ」   2秒
    飛び立つ時に二声で鳴くことが多い

  地鳴き:【録音②】 2021年4月 さいたま市
    「キュキュキュ」「クワッ、クワッ」など   28秒
    枝にとまって地鳴きを繰り返す

  ぐぜり:【録音③】 2021年4月 さいたま市
    「キュルキュルキュル」「ククッ、ククッ」   14秒
    クチュクチュとつぶやく様な鳴き声

Top