*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No24 【セキレイ類】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 早春になると鳥たちの鳴き声に変化が現れてくる。秋冬期は地味な地鳴きばかりであったが、繁殖期を迎えるにあたって「ぐぜり」や「さえずり」が聞こえてくる。今回は、セキレイ類の中でも代表的な3種類、街中のコンビニの駐車場でも見られる「ハクセキレイ」、独特な濁った地鳴きで知られる「セグロセキレイ」、渓流にすむ黄色いセキレイ「キセキレイ」の生態と鳴き声をご紹介したい。
 1 ハクセキレイ(白鶺鴒)スズメ目セキレイ科セキレイ属 全長:21cm
 かつては北海道と東北地方で繁殖していたハクセキレイは関東地方では冬鳥として認識されていたが、1970年代中ごろから急激に繁殖地を拡大し現在ではほぼ全国で繁殖している。数年前、ハクセキレイがさいたま市東部に位置する職場で5月末にエアコンの室外機の下に潜り込むように営巣したことがあり、抱卵から子育ての様子を約1ヶ月間楽しんだことがあった。
 顔は白く黒い過眼線がある。尾羽を振りながら地上を素早く歩き採食する姿がよく見られる。

【写真①】2017年1月 さいたま市

【写真②】2020年1月 さいたま市
オス(冬羽)頭が黒く背中は淡い灰色

【写真③】2018年1月 さいたま市
メス?若鳥? 頭・背中ともに灰色
◎鳴き声
【録音①】2021年1月 さいたま市 地鳴き  8秒
  「チチッ、チチッ」と鳴きながら波状飛行をする
  最後にセグロセキレイの地鳴きも一声だけ聞こえる

【録音②】2020年8月 さいたま市 ぐぜり  47秒
  電線でしばらく鳴いていた

【動画①】2021年3月 千葉県船橋市 ぐぜり 早口で鳴いていた 23秒
 2 セグロセキレイ(背黒鶺鴒)スズメ目セキレイ科セキレイ属 全長:21cm
 背黒という名のとおり背中が黒い鳥、ハクセキレイとの違いなら頬が黒いところがポイントだ。街中でも見られるハクセキレイとは異なり、砂れき地のある河原や公園の池付近で観察できる。観察していると侵入者に対して威嚇する事が多い。その理由は、セグロセキレイは縄張り意識が強いせいなのかもしれない。
 また、セグロセキレイは英名で「Japanese Wagtail(お尻を振り動かす)」とあるように、ほぼ日本だけに生息する固有種である

【写真④】2016年12月 栃木県宇都宮市

【写真⑤】2018年1月 北本市

【写真⑥】2019年4月 さいたま市 幼鳥
◎鳴き声
【録音③】2021年1月 さいたま市 地鳴き  4秒
  「ジジッ、ジジッ」と濁った声で鳴きながら波状飛行をする

【録音④】2021年3月 上尾市 さえずり?  16秒

【動画②】2021年3月 上尾市 歩きながらさえずり? 35秒
 3 キセキレイ(黄鶺鴒)スズメ目セキレイ科セキレイ属 全長:20cm
 山地の渓流にすむセキレイと言えば「キセキレイ」。黄色というよりレモン色に近い。冬期は市街地の公園でも見られるが、基本的には水がない場所では見られない。セキレイ類はみな尾を上下に振るが、キセキレイはハクセキレイよりも速いリズムで尾を振るような気がする。
 オスは繁殖期には喉が黒くなる(写真⑨)。また、繁殖期にオスは屋根などの高い所でさえずる。下の録音⑤ではダムの高い位置に設置されたコンクリートの上でさえずっていた。

【写真⑦】2020年1月 北本市

【写真⑧】2020年1月 北本市

【写真⑨】2019年6月 前橋市 オス
◎鳴き声
【録音⑤】2020年6月 飯能市 さえずり  55秒
  「チチチ、チチチチ」と短く繰り返す

【動画③】2019年1月 秦野市 地鳴き 19秒
 飛ぶ時に「チチン、チチン」とハクセキレイよりも高い声で鳴く
 動画では最後に一声だけ地鳴きを聞かせてくれる(笑)

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