*** 野鳥の鳴き声を楽しもう No22 【ホオジロ類の地鳴き】 ***
報告: 大井 智弘

はじめに
 今回は、鳥の地鳴きの苦手な方々が最初にクリアするとバードウォッチングがさらに楽しくなるホオジロ類(ホオジロ、アオジ、カシラダカ)を取り上げる。ベテランのバーダーの皆さんなら地鳴きを聞いただけで識別していると思われるが、私はホオジロなら地鳴きを聞けばどうにかなる気はするが、アオジとカシラダカの地鳴きとなるといまだに聞き分ける自信がない。私の勉強もかねての報告である。

1 ホオジロ(頬白)スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 全長:17cm
 毎年1月中旬、気の早いシジュウカラがさえずりだし、カワラヒワのさえずり「キリキリキリ、ビーン」、そしてホオジロのさえずりが聞こえ始める。身近な小鳥たちのさえずりが聞こえてくると一歩ずつ春が近づいてくるのがわかる。
 ホオジロは、この頃から地上で食べ物を探す姿が見やすくなる。アオジも同じような環境にいるため、両種の「チチッ」「チッ」という地鳴きが一緒に聞こえて来て悩ましいのもこの時期だ。

【写真①】2018年4月 さいたま市
【録音①】地鳴き 2020年5月 さいたま市
「チチッ、チチッ」と連続して鳴くことが多い  16秒
 ※ ホオジロについては「野鳥の鳴き声を楽しもうNo3」を参照していただきたい
2 アオジ(青鵐)スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 全長:16cm
 アオジは、和名の「青」というよりも緑色を帯びた黄色い鳥である。右の写真②のようにオスは頭部が濃い灰色で目の周囲が黒い。アオジは、秋冬には平地林やヨシ原、郊外の都市公園で観察することができる。藪の中や公園の植え込みに隠れていることが多いので地鳴きを頼りに見つけることになる。
 アオジの地鳴きは「チッ」「チッ」と区切ってやや濁った声で聞こえてくる。春先、繁殖地へ移動する前にさえずりの練習のような声を聞くチャンスがあるので注意してみて欲しい。

【写真②】2019年1月 さいたま市
【録音②】地鳴き 2021年2月 さいたま市
「チッ」「チッ」と区切ってやや濁った声で鳴く  27秒

【録音③】さえずり 2019年7月  長野県諏訪市
「チョッ、チー、チョッ、ツリリ」と鳴く  34秒
【動画①】2021年2月 さいたま市 メスの地鳴き 23秒
【動画②】2021年2月 北本市 オスの地鳴き 9秒
3 カシラダカ(頭高)スズメ目ホオジロ科ホオジロ属 全長:15cm
 カシラダカは平地林や農耕地などの開けた環境を好み10~30羽程度の群れを構成していることが多い。和名は頭頂に冠羽を立たせることが由来のようだ。ホオジロと似ているが、冠羽の比較でもわかるが、正面から見た時の喉から下面は白く、胸には茶色の縦にスジが見られるので識別はしやすい。
 カシラダカの地鳴きは「チョッ」とこもった感じに聞こえる、アオジの方が濁った音で一音ずつはっきりしている。地鳴きは藪の中から聞こえてくることが多いが、低木の少し高い所でも鳴くので注意してみて欲しい。

【写真③】2021年1月 川島町
【動画③】2021年1月 川島町 40秒 鳴き声は入っていない オスかな?
【動画④】2021年1月 川島町 29秒 小さな声で「チョッ」「チョッ」と鳴いてくれた
イヤフォーンで聞くとよく聞こえる(笑)

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