*** コロナが落ち着いたら行きたい魅惑の探鳥地 ***

北海道・天売島編(遠征時期2018.6.15~6.17)
文・写真:廣田純平
 新型コロナウイルスの終息が見通せないなか、不安な日々が続いているかと思います。「今年は○○に△△を見に行こう!」と遠征計画を立てていた人も多いかと思います。私もその一人です。はたしていつまでこの状態が続くのか、とにかく早く終息してほしい状況ですが「来年はきっと遠征できるはず!」という夢と希望を持たせられればと、そんな気持ちで書いております。
 まずは、私からの第一弾として、2018年に行った天売島をご紹介します。天売島といえば、ウミガラス・ケイマフリ・ウトウの「オロロン3兄弟」と呼ばれる海鳥たちが有名で他にもたくさんの海鳥の宝庫です。また、渡りの時期には珍鳥も立ち寄る島です。私はとにかくケイマフリに会いたくて行きました。
 天売島は北海道羽幌町の西30kmにある島です。移動手段は羽幌港からのフェリーしかありません。では、羽幌に近い空港は?というと、稚内または旭川どちらかという感じです。レンタカーを借りたとしても羽幌まで2~3時間はかかるでしょうという距離です。ただ、レンタカーを借りたとしても、天売島滞在中は全く乗らないため、レンタカー代がもったいない…。ということもあり、私の場合は札幌からの高速バス利用で羽幌港へという行程にしました。このため、初日は苫小牧方面でのバードウォッチングです。

【初日】
 新千歳空港に着いてからレンタカーを借り苫小牧方面へ。なんといっても見たいのがカササギ!私が行ったのは勇払駅~勇払マリーナ周辺の市街地でした。このエリアはところどころに公園があり、公園の樹木や電柱にカササギが営巣しています。少し探すといましたいました~!ガシャガシャガシャという声も聞くことができました。声はそんなですが、羽がとても綺麗です。七夕伝説では織姫・彦星が会うために天の川にカササギの翼を並べたとか、カササギに乗って会ったとか、そんな風に言われるくらいなので、とても綺麗です。
 続いては、北大の苫小牧演習林へ。クマゲラに期待して行きましたが、前週まで巣作りをしていた巣は放棄したそうで見られませんでした。それでも、エゾリスやシマエナガ、マガモの親子など可愛い子たちに出会えました。
【2日目】
 札幌からは、沿岸バス株式会社が運行する「高速乗合バス特急はぼろ号」
http://www.engan-bus.co.jp/01_expressbus/)を利用(完全予約制)
朝8時に札幌駅前ターミナルから発車し、羽幌バスターミナル到着は11時ごろ。約3時間のバス旅ですが、広大な北海道の景色、そして海沿いを走るため、とにかく景色が良く、目的の天売島が見えてくるとテンションあがってきます。この時期は羽幌港から天売島へフェリーと高速船両方があります。羽幌バスターミナルに11時10分に着き、高速船は11時40分発とちょっと忙しめですが、意気揚々と乗り込みます。途中、焼尻島を経由して天売島へは約1時間で到着します。この時は高速船でしたが、なんか海鳥がいるはず!と屋上デッキから海鳥探索(外に出ている人誰もいない)ウトウはたくさん、そして憧れのケイマフリも焼尻島を過ぎたあたりで見ることができました。
 島に到着してすぐにレンタサイクルを借ります。この時はレンタサイクルにしましたが、島は起伏が多く、中でもウトウの営巣地まではひたすら上り坂のため、原チャリにすればよかったと後悔…笑 フェリーターミナルすぐ裏にある「おろろんレンタル」では自転車・電動自転車・原付・レンタカー(軽)がありますので事前に連絡して予約しましょう。
https://www.teuri.jp/stay/ororonrental.html

 自転車を漕ぎ始めると、至る所で鳥が鳴いています。一番多く目に着くのはノゴマです。電柱の上、人家のアンテナの上、木の上、とにかくノゴマだらけです 笑 そしてエゾセンニュウの声もあちこちで。非常に潜行性が高い鳥と有名ですが、運よく木で囀っているところを見られて感激…!
 赤岩展望台を目指して移動する途中では、一面ウミネコの繁殖地が広がる場所があります。うわ~!すご~い!見ている間も頭上を飛んでいるので、そのうち頭に爆弾を食らうのではと恐る恐る見ていました。
 自転車を漕ぎながら島を進んでいる時に、何より印象に残っているのは「ここは天国かしら」と思えるくらいの絶景ということでした。
 坂を上り切り、赤岩展望台付近まで来るとトイレがあるので小休止。「なんだこれ! 笑」と目を疑いましたが、トイレの入り口ドアには「ウトウが入りますので、ドアは必ず閉めてください」の文字。なんて場所だ…すごい 笑
展望台の周りには、穴がボコボコ開いて草の生えない地帯が。これみんなウトウの巣なんです。穴だけ開いているように見えますが、この頃はもうウトウの雛がいるそうです。まだ真昼間なのでウトウの姿は見られませんが、営巣地の規模にビックリでした。島内を探索していて驚いたのは、モズの高鳴きのような声がして、何かと思えばアリスイでした。埼玉県民には真冬の印象しかない鳥ですが、北海道では夏鳥なんですよね 笑 いやー、びっくり。
 翌日には海鳥観察のためにネイチャーライブの「ケイマフリ号」に乗船するため、海の宇宙館にて写真家の寺沢孝毅さんからレクチャーを受けます。ネイチャーライブは天売島のバードガイドをしており、まるごとおまかせガイドや探鳥会など様々なガイド・イベントを行っています。天売島の鳥たちを楽しむのなら、ネイチャーライブさんを頼るといいと思います。
https://www.naturelive.jp/)(https://www.teuri.jp/
 日の入り前からネイチャーライブさんのウトウの帰巣ツアーに参加するため、早めの夕食です。海鮮好きな私にとっては、最高すぎる料理の数々…!
刺身が美味い!まだ動いているウニ!ウニ茶漬け!ウニ丼!ああああ!!鳥も素晴らしくて料理も素晴らしくて最高でした。。。私は萬屋旅館さんというところを利用させていただきました。お腹も満たされて美味しくて最高な余韻に浸っていると、ネイチャーライブさんが旅館まで車で迎えに来てくれます。さて、ウトウの帰巣ツアーに出発です。
 赤岩展望台からの眺めは、この日は天国かと思えるような素晴らしい夕焼け。ガイドの人いわく「こんなに綺麗に焼けたのは2週間ぶり」と言われました。北海道には梅雨が無いと言われていますが、年によってはぐずつく天気が数週間続く「蝦夷梅雨」があるそうです。ひたすら凪の海が広がっていて本当に別世界みたいで、素晴らしい景色。天気運がすごい!!夕焼けに見とれていると、ちらほらとウトウが飛んで帰ってきます。嘴に魚をたくさん咥えて、夕焼けの空を飛んでいます。なんて美しい…。だんだん暗くなるにつれ、ウトウの数が増えてきます。展望台にいるとウトウが飛んできてぶつかって危険ということで、少し避難します。
 日が沈むとさらにウトウの数が増します。ぶつかるんじゃないかと思うくらいのウトウがびゅんびゅん飛んできます。立っていると危ないので、背を低くした状態で帰巣を観察します。動画はあるので動画でお伝えしたいところですが、残念ながら写真でお届けです 笑 ふと見上げると浮かぶ三日月、飛び交うウトウ。夢のような時間でした。
【3日目】
 早朝にネイチャーライブの「ケイマフリ号」に乗船し、ケイマフリ・ウミガラスを観察です。定員10人に満たないくらいのボートに乗り出港です。そんな小さな船なうえ、ケイマフリのいるエリアは岩礁が多いため、波風が強い日はケイマフリ号は出ないこともあります。そのため、絶対ボートに乗りたい!という方は、天売島での滞在日数に余裕を持つことをおすすめします。ケイマフリ号は朝に2便しか出港しません。
寺沢船長の巧みな操縦で、岩礁帯をすすみます。ボートのエンジンが動いているとケイマフリたちが警戒するため、エンジンを切って波の力だけで岩礁帯をすすみます。ぷかぷか浮かぶケイマフリ、岩の上でくつろいだり、寝たりしているケイマフリ。憧れのケイマフリたちがそこらじゅうにいます。可愛い…!ボートが近づくと、警戒してケイマフリたちが海面を蹴りながら飛んでいきます。名前の由来にもなっている赤い足が映えます。憧れていたシーンをたくさん見られて撮影できて大満足でした。一気にケイマフリのファンになりました。「この先はアザラシが寝ている地帯だよ」と言われてみると、ゴマフアザラシたちが横たわっていました。野生のゴマフアザラシ!すごい!
 この日は、波が少し高かったため、ウミガラスのいる地帯にはボートで行けなかったことが心残りでした。代わりに見られたのはウミガラスのデコイたちでした 笑 いつかまた来て必ずウミガラスに会おう!と誓いました。後から知ったのですが、民宿・栄丸さんでは、漁船でのクルーズもやっているため、こちらなら波風の影響も少なく海鳥が観察できるかもしれません。宿泊と合わせると便利かもしれませんね。
 本当はもう1泊する予定でしたが、帰る予定の日に関東に台風が接近していたため、1日早めて無念の帰路へ。この日の午後便で天売島を後にしました。悔しい。。。それにしても、最高の天気とケイマフリたちを堪能してかなりの満足度でした。帰りの船からも海をウトウ・ケイマフリたちが飛んでいるのが見れて、まるでお見送りをされているような気持ちになりました。次はGWの渡りの時期に来てみたいなと思いました。
 いかがでしたでしょうか?これを読んで、来年の遠征は天売島!という方がいらっしゃることを願います。今回は初日は天売島に行ってはいませんが、羽幌港からの最終便(14時)に乗ればその日のうちに島に行けます。飛行機とレンタカーの組み合わせでも間に合いますが、札幌駅前バスターミナル10時発の「特急はぼろ号」に乗れば間に合います。パッケージツアーなどはおそらく無いため、飛行機・バス・フェリー・宿泊先・ガイドと予約するものは多いですが、その先にはきっと素晴らしい景色と鳥たちが待っているはずです。鳥を楽しむならネイチャーライブさんの企画を利用すると島の鳥たちを満喫できると思います。

【お役立ちリンク】
・北海道天売島official site (https://www.teuri.jp/)
・ネイチャーライブ(https://www.naturelive.jp/
・民宿 栄丸(http://sakaemaru.jp/index.html
・沿岸バス株式会社(http://www.engan-bus.co.jp/
・羽幌沿海フェリー(http://www.haboro-enkai.com/
・おろろんレンタル(https://www.teuri.jp/enjoy/rental.html

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