*** 探鳥会風景 ***

10/28-29/’23 長野県・戸隠高原探鳥会
報告: 菱沼 一充

1日目
 去年の探鳥会は冬鳥の到来も遅く、紅葉も遅かったので1週間ほど遅めの開催となりました。それが裏目に出て天気は両日とも思わしくない予報となりました。長野駅では晴れ間が出ていたが、高度を稼ぐにつれて空は雲に覆われてしまいました。植物園入り口に到着した時点ではもうしばらくの間、天気は持ちそうです。早速、コマユミにコガラがご挨拶にやってきました。去年はこのコマユミには、まったく実がついて無くて枯れてしまったのかと思っていたのですが。
 森のまなびやのモミジは去年と異なりかなり色づき、ナナカマドの葉はすっかり落ちていました。みどりが池はひっそりと静まりかえっており、ようやくカイツブリを見つけることができました。例年はみどりが池から鏡池へと向かうのですが、天候が思わしくないので入口広場から隋神門へ向かうこととしました。
 入口園地へ向かう道で、早速ゴジュウカラ。埼玉ではなかなか見る機会がありませんが、ここでの常連です。続いてキツツキの姿を見つけました。アカゲラかと思いましたが、写真を撮った人がいたので確認するとオオアカゲラでした(両方いたのとの話も)。次にツルマサキの実をついばむツグミを見つけました。今シーズン初めての出会いです。周囲からはツグミの鳴き声があちこちで聞こえてきます。
 入口広場に着くとツグミの群れ、マミチャジナイも混じっていたようです。ゴジュウカラとカラの混群とシメ、アカゲラにアオゲラと皆さんどこを見て良いか大忙しだったのですが、ハイタカの出現で皆姿を潜めてしまいました。入口広場には以前トイレが設置されていたのですが、老朽化のため撤去されてしましました。一度、奥社駐車場のトイレまで行ってから昼食としました。
 奥社鳥居のツルマサキにはここ数年ムギマキが出ていたのですが、今年はもう抜けたようでした。水芭蕉の小径と小川の小径との分岐の先のツルマサキにムギマキがいるとのことでそちらに向かいます。ツルマサキのところには数人のカメラマン。しばらく、待っていると雌タイプのムギマキが出てくれました。もう一羽、若い雄と思われる個体もいました。他にはジョウビタキとキビタキ(ルリビタキもいたようです)。随神門からささやきの小径を少し行ったところでイカルが群れていたとのことで随神門へ向かいました。随神門近くのイチイにはいつもヤマガラがいるのですが、この日は見られません。キハダの実にツグミが群れていました。いつものところで小休憩してイカルを探しましたが見つけることができませんでした。
 奥社鳥居の近くのドイツトウヒにイスカがいたそうなので、随神門から鳥居まで参道を歩きましたが、残念ながらいませんでした。時間があるのでもう一度、ムギマキを見に行くことにしました。入口広場近くでカシラダカを見てから、ツルマサキの場所へ行くとムギマキが出てくれました。先ほどよりも薄日が射して条件は良さそうです。
 (ムギマキ写真は若田部さん提供)
 もう一度、カイツブリに挨拶して送迎バスの時間まで、森のまなびやで時間を潰しました。今夜の宿泊は宝光社の武井旅館さんです。豪勢な食事とおいしい蕎麦をいただきながら、長野の地酒を堪能いたしました。

2日目
 朝6時に宿を出発し、宝光社周辺の探鳥を行いました。農耕地なので植物園で見られない野鳥が観察できます。スズメは植物園では見ることが見ることができません。空が明るくなると高い梢に小鳥の群れがやってきました。キキコキーと囀りが聞こえてきます。イカルの群れです。1羽のマミチャジナイも混じっていました。空には青空が所々にのぞいています。下方から霧がわいてきて流れてきます。長野市街はおそらく雲の下でしょう。このあたりは植物園よりも標高が低いので紅葉の真っ盛りです。
 ホオジロが梢で囀り、雄のキジが稲刈りの終わった田圃の中をかけていきます。このあたりの景色は本当に心が安らぎます。宝光社への登り道でカラの混群に出会います。シジュウカラ、コガラ、ヒガラ、エナガ、コゲラに加えてゴジュウカラ、キバシリが混じっていました。あっという間に時間が過ぎてしまい、宝光社へよらずに宿に戻りました。
 朝食後、昨日行けなかった鏡池までバスで送っていただきました。空は所々に青空がのぞき、まずまずです。ほとんど風が無いため、鏡池の水面はまるでその名のように鏡のようでした。水面にヒドリガモ、ホシハジロ、カルガモ、コガモとオオバン。肝心のオシドリが見当たりません。皆で探して、やっと、対岸の木陰にいるのが見つかりました。
 鏡池から随神門へと向かいます。途中のツルマサキを確認しましたが、コガラぐらいです。天命稲荷を過ぎても会えるのはカラぐらいでした。随神門手前のキハダにツグミが群れていましたが、どうやらマミチャジナイはまじっていないようです。昨日の休憩場所で折り返して、もみの木園地経由で入口広場へ戻り、もう一度ムギマキを観察することにしました。
先ほどまでは、時々薄日も射していたのですが、着いたときには雨模様になってしまいました。それでも、ムギマキ2羽とキビタキ雌を見ることができました。入口広場でアカゲラ、マヒワ、カシラダカを観察した後、バスで戸隠キャンプ場へと向かいました。
 奥社入口でバスに乗り戸隠キャンプ場へ向かいます。先ほど雨が降っていたのでお弁当を広げる場所を気にしていたのですが、幸いキャンプ場は雨が降らなかったらしく道路は乾いており、ところどころ青空ものぞいていました。食事後、探鳥を始めるとすぐにマミチャジナイとツグミが数羽でツルマサキの実をついばんでいるのを見つけました。植物園では遠くかつ見上げるような場所でしたが、ここでは地形の関係で目の高さで、比較的近い距離で見られたため、皆さん大感激でした。天候が心配された両日でしたが、幸いにもほとんど雨に降られることも無く、無事に終了しました。見られた鳥は47種となり、秋では最高の記録となりました。